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 牛肉、羊毛、ワイン、チーズ。いずれもオーストラリアの代表的な産物だが、これらを輸出額で大きく上回る豪州の特産品が「金」だ。安定資産だと根強い人気があるところに中国の経済成長がニーズを押し上げる。その活況を1世紀ぶりの「ゴールドラッシュ」と呼ぶ声もある。(カルグーリー=小暮哲夫)

 むき出しになった地層のはるか下に、重機が豆粒のように見える。豪州西部カルグーリー。鉱業会社「KCGM」の金鉱は、豪州でも最大規模だ。

 1トンの岩石から取れる金は約2グラム。3・5キロ×1・5キロの広大な土地を1989年から幾重にも掘り進んだ結果、深さは約600メートルになった。昨年は市場価格にすると約1千億円になる22トンの金を生産した。

 金鉱は観光名所でもある。「この10年で、目に見えてダンプや重機の数が増えていますよ」。一帯の金鉱で50年前に働き始め、今はツアーガイドを務めるグラハム・ギブソンさん(66)が説明した。

 昨年の豪州の金の生産量は288トンと中国に次ぎ世界2位だ。輸出量は、ニュージーランドやパプアニューギニアなど近隣国の金鉱石を精製した分と合わせて329トン。前年比で約17%増えた。輸出額は177億6700万豪ドル(約1兆5300億円)。牛肉の2倍、羊毛の5倍にあたる。

中国向け輸出、5年で2.3倍に

 豪州では、1850年代から1900年代初頭にかけて米国のカリフォルニアに続く形でゴールドラッシュが起きた。南東部で見つかった金鉱は各地に広がり、1893年にカルグーリーでも発見された。

 当時、中国からやってきた労働者が豪州で一時4万人にも上った。一獲千金で得た富を母国へ送金したことに反感を持たれ、各地で反中国人暴動も起きた。それが、白人を優遇し、有色人種の移住を制限する白豪主義につながっていった。

 それから1世紀あまり。再び起きている「ゴールドラッシュ」の一番のお得意先は、中国人たちだ。

 記念金貨などを鋳造する西オーストラリア州のパース造幣局は、豪州での純金への精製の9割以上を担う。純金の95%は、主に延べ棒で輸出される。2011年に約100トンだった中国向けの輸出は、16年に約230トンになった。以前はインドが最大の輸出相手だったが、インド政府が自国での金の精製を奨励したため減少し、中国が取って代わった。

 延べ棒を輸入する中国の銀行を通じて買う顧客の多くは個人だという。鈍化したとは言え、年6%台の経済成長を続ける中国で増える中間層や富裕層が買っているとみられている。

■不安な情勢、変わら…

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