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 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は10万人あたり2・5人の患者さんがいる病気です。残念ながら、進行を止める、失った機能を回復させる治療方法は確立していません。現在の治療は病気の進行を緩やかにするもので、内服と点滴での薬があり併用も可能です。進行にあわせて最善の医療を提案できるように、呼吸や栄養管理面の研究も進められています。

 この病気では運動をつかさどる神経が徐々に無くなっていきます。原因は長らく不明でしたが、2006年にTDP―43というたんぱく質が関わっているとわかりました。TDP―43は神経細胞に必要なたんぱく質です。ALSではこのたんぱく質の異常な蓄積が神経細胞内に見られます。蓄積による毒性、あるいは、このたんぱく質の働きの低下がALS発症に関与すると考えられています。現在、この両面からの研究が精力的に進められています。

 ALSは多くの場合遺伝しませんが例外もあり、遺伝性ALSの研究でも多くのことがわかってきました。原因遺伝子としてTDP―43など20種類以上が知られています。これらから作られるたんぱく質は、大変固まりやすい特徴を持つ一群と、たんぱく質の分解に関わる一群に大別されます。これらの発見をもとに多くの治療薬の候補が挙げられており、患者さん由来のiPS細胞を用いた治療薬探しや、運動神経細胞で発現が低下する酵素を補う遺伝子治療などの研究も進んでいます。このような取り組みには、全国規模で患者さんを登録する組織が大切です。日本ではJaCALSという組織があり、新潟大学の患者さんにも協力をお願いしています。

 新潟大学は臨床、研究にわたってALS研究を精力的に行っています。現在はTDP―43に注目した、病気の進行を止める治療方法の開発や、将来的な治療研究のための早期診断や病気の進行予測の方法開発などを進めています。

<アピタル:医の手帳・ALS>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/techou/(新潟大学脳研究所 分子神経疾患資源解析学分野 石原智彦助教)