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 国がコメの生産量の上限を示す減反政策が今年で終了した後も、45道府県で生産量や作付面積の「目安(参考値)」を独自に示す見通しであることが、朝日新聞社の調べでわかった。産地の自主性を高めるための減反廃止だが、ほぼ全国で一定の枠が存続することになる。

 目安は主に、各都道府県にある「農業再生協議会」がつくる。再生協に参加する自治体や農業協同組合(JA)に尋ねたところ、山形や富山、宮崎など13県は農家など生産者ごとの数値まで示す方針だと回答した。形としては、「生産数量目標」を生産者ごとに配分していた減反政策と同じ対応になる。

 残る都道府県のうち27道県は、市町村などの地域ごとの数値を示し、生産者ごとに割り振るかは各地域に委ねる。ただ、北海道や鹿児島は生産者ごとに目安を示すことを「基本」としている。群馬や大分なども各地域に生産者ごとの数値を伝えるよう要請する。

 また、秋田や静岡、京都、岡山、徳島の5府県は府県全体の数値を示し、各地域には算出の方法や考え方を提供するにとどめる。多くは、農林水産省が引き続き示す全国の需要見通しを踏まえて年内に算出する。生産量が少ない東京と大阪は、独自の目安はつくらない。

 減反政策は生産量をほぼ全国一律に抑えてきたため、意欲ある農家が自由に生産できないなどの弊害も指摘されていた。一方、市町村やJAには「目安がないと農家を指導できない」といった声も根強く、数字を示す動きにつながった。

 コメの生産現場の状況は一様ではない。2017年は千葉や新潟など11県が数量目標を超えたが、西日本を中心に、担い手不足などで大きく下回った地域もある。目安づくりにあたっては、一律に割り当てるのではなく、生産者や流通業者の意向を反映させて算出しようという再生協もある。生産が少ない地域では、目安によって必要な量を確保する意味合いもあるという。

 2018年以降は減反に参加するともらえた国の補助金がなくなり、都道府県の対応にも差があるため、実際の生産量がどうなるかは見通しにくい。

 国の生産数量目標は15年に初めて達成し、今年も3年連続で実現できる見通し。その結果、下落傾向だったコメの価格は15年から上昇に転じた。再びコメが生産過剰に陥り、価格が下落することへの懸念も根強く、全国のJAを束ねる全国農業協同組合中央会(全中)は、調整を担う全国組織の発足を目指している。

 自民党は衆院選の公約で、「関係者の主体的な取り組みを促す全国的な推進組織の立ち上げを支援する」と明記。衆院選の大勝で動きが本格化しそうだ。ただ、目安が減反目標と同じように運用されると、生産者の取り組みを縛り続けることになりかねない。(山村哲史)

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 〈国の減反政策〉 1971年に本格的に始まり、近年は国が生産数量の上限を決め、都道府県、市町村を通じて生産者に配分していた。協力すると、国から10アールあたり7500円の補助金がもらえたが、17年限りでなくなる。水田で主食用米以外の飼料用米や小麦などをつくるともらえる補助金は来年以降も続く。