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 ユネスコ(国連教育科学文化機関)は18日、パリで開いた執行委員会で、歴史的な記録を保存・継承する「世界の記憶(旧・記憶遺産)」の制度改革に関する決議を全会一致で採択した。政治利用を避けるため、複数の当事者間で事実関係や歴史認識で意見が異なる案件は、当事者間の話し合いを促し、まとまるまで審査を保留する。

 日本政府関係者が朝日新聞の取材に明らかにした。それによると、決議は「世界の記憶」事業に関する政治的な緊張を回避することを事務局長らに求める、との趣旨の文言が盛り込まれた。ルールの詳細は来春の執行委までに詰め、来春以降の申請分から適用する。

 今月下旬に新たな「世界の記憶」の審査があり、日中韓などの民間団体が申請した元慰安婦の証言なども審査対象になっている。日本政府関係者は「ルール策定前とはいえ、政治利用の回避が決議に入ったことで、それに沿った判断を期待したい」と話す。

 制度改革をめぐっては、中国が申請した「南京大虐殺の記録」が2015年に登録された際、日本政府は「中国の一方的な主張に基づき申請されたもので(資料の)真正性に問題がある」と反発。ユネスコの分担金支払いを一時延期するとともに、制度が政治利用されることのないよう審査方法の改善を求めていた。(松井望美)