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 パソコンで空調を調節、ルームセンサーで睡眠状態を把握――。パナソニックと大阪府内などの自治体が、あらゆるモノをインターネットにつなぐ「IoT」を活用した高齢者の見守りシステムの実証実験に取り組んでいる。同社は一人暮らしの高齢者の生活を遠隔で把握できるサービスの実用化を目指す。

 「夜間の巡回中、室温に気を配らずに済む。入居者の健康状態が分かり、ケアの質をより高められる」

 大阪府枚方市の介護付き有料老人ホーム「エイジフリー・ライフ星が丘」の施設長、山崎誠さん(39)はそう実感している。

 実証実験に先駆けて、今年5月、入居者用の個室54部屋に、同社の「IoT」機器を設置した。

 エアコンは室温を検知する。高過ぎたり低過ぎたりすると、職員が常駐する一室にあるパソコンに自動で通知が届き、パソコンを通じて温度を調節。熱中症や脱水症状などを未然に防ぐのに役立つという。ルームセンサーは、呼吸による胸や体の動きなどを検知し、睡眠時間が把握できる。

 今年9月から始めた実証実験は、大阪府交野市や箕面市などの協力を得て、独居の高齢者約10人が対象。映像を通して会話ができるカメラ、ドアや窓に取り付ける開閉センサーなども組み合わせ、離れて住む家族やケアマネジャーが在宅中の状況を見守っている。

 人口約8万人の交野市は、2008年に約19%だった高齢化率(65歳以上)が今年約27%まで上昇。孤立死の防止や地域の見守り活動が課題だ。ただ、プライバシーの問題もあって独居の高齢世帯の生活状況は見えにくいため、同社の実証実験に加わったという。

 実験は来年3月までの予定。ケアマネジャーとして実験に参加している交野市地域包括支援センターの村上朱里センター長(45)は「見守りとともに、高齢者の体調をデータで把握することができる。独居の高齢者が自宅で生活できる環境づくりに役立つのでは」と期待する。

 パナソニックは他の自治体でも実証実験を広げていきたい考えだ。同社で見守りシステムを担当する木田祐子さんは「介護が必要な家族がいても安心して生活ができる環境は、これから多くの人に求められる。高齢化社会に貢献していきたい」と話している。(光墨祥吾)