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宇宙新時代

 世界初の人工衛星「スプートニク1号」を旧ソ連が打ち上げてから60年。宇宙開発は国が主導した時代から民間企業が大きな役割を担う時代へと様変わりした。国内でも今年、月探査機の開発や小型ロケットの打ち上げが本格化。宇宙空間を新たなビジネスにつなげようとする試みが広がっている。

 銀色に輝く耐熱材や太陽電池に覆われた長さ約60センチの車体。直径18センチの車輪は、水車のような羽根が付いている。この探査車「SORATO(ソラト)」が走るのは、地球から38万キロ離れた月の表面だ。

 開発を手がけるのは、日本の宇宙ベンチャー・ispace社が運営するチームHAKUTO(ハクト、袴田武史代表)。10月30日から組み立てが始まった。

 ソラトは世界の5チームが競う民間月探査レースに、日本から唯一参加している。来年3月までに月面に着陸して画像送信などの課題をクリアし、賞金2千万ドル(約23億円)の獲得をめざす。開発・打ち上げ費は計11億円。ハクトはKDDIや日本航空、朝日新聞社など31社が支援している。

 レース参加のねらいは、高い技術の確立だ。月面は宇宙放射線にさらされ、昼は100度以上、夜は零下150度以下になる。レースで探査車の能力が実証できれば、月面での鉱物や水資源の探査や採掘サービスにつながる。近い将来、各国が月探査を本格化させる際に売り込む算段だ。

 袴田さんは「月面の開発が進めば、資源探査の必要性はさらに高まっていくだろう」と話す。

 ロケットの開発を進めるベンチャーもある。北海道大樹町のインターステラテクノロジズは、高度100キロまで飛ぶロケットの実用化を進める。これまで数億円かかっていた打ち上げ費用を5千万円以下にするのが目標だ。同社には、起業家の堀江貴文さんが出資。7月に打ち上げた1号機は予定高度に達しなかったが、そのデータを2号機の製造に生かしている。

 背景にあるのは、人工衛星の小型化。途上国などで通信網を構築するため、これまでより格段に小さく安価な通信衛星の打ち上げ需要が急増すると見込まれる。今後、本格的な小型ロケットが開発できれば、こうした需要に応えられる。

 稲川貴大社長は「コスト削減を重視して開発を進め、宇宙を身近にする」と意気込む。

■ロケット交通・火星移…

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