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幸せな老いを探して 米国留学で見たこと:7

 医療や介護が必要になり、施設で暮らすようになっても、自宅にいるように好きな時間に起きたり、食事ができたりしたら……。そんな高齢者の思いをかなえる住まい「グリーンハウスプロジェクト」が、米国で注目を集めている。

 グリーンハウスプロジェクトは、既存の大規模な「ナーシングホーム」(医療や介護が必要な高齢者向けの入所施設)ではなく、自宅のような建物で高齢者が暮らし、自室にトイレやシャワーを持つといった新しい住まいの形だ。現在約30州で、非営利団体などにより200近くが運営されている。その一つ、ニュージャージー州ウェストオレンジのグリーンハウスを訪ねた。

 敷地内には、一軒家が並ぶ。緑に囲まれ、バーベキューができるテラスもあり、どこかの住宅街みたいだ。

 午前10時、そのうちの1軒を訪ねた。ノックすると扉が開き、広々としたキッチンからいいにおいが漂ってきた。キッチンにいたスタッフのエリカ・ディキンスさんに「昼食の準備ですか?」と尋ねると、これから朝食をとる人のために支度中だと説明してくれた。

 「いつでも誰かのために、キッチンを使っています」

 メニューはない。入居者それぞれが食べたいものを、スタッフが作る。

 入居者のジョセフィン・ゼローさん(96)は、酸素吸入器と車いすを使いながら、家族の写真に囲まれた自室で暮らす。ブランチを食べ、午後に3時間ほど昼寝をして、夕食をとる。めいが持参する好物のパスタを夕食に出してもらうこともあれば、他の入居者と一緒にレストランへ外食に出かけることもある。

 めいの勧めで入居した。めいは毎日顔を出し、孫も時折来て宿題をしているという。

 決められたレクリエーションなどはなく、好きなことをして一日を過ごす。別の高齢者施設にいたこともあったが、「家のようだけど居心地が家ではなかった。でもここはまさに私の家なの」。ゼローさんが笑顔を見せた。

すべての世話をする「シャバズ」

 グリーンハウスは、「自分の家のように過ごす」ことにこだわる。食器やインテリアは家庭と同じようなものを使い、アットホームな雰囲気だ。思い入れのある家具や荷物を個室に持ち込むこともできる。他の入居者の同意を得られれば、ペットを飼うことも可能だ。

 ダイニングには、全員が座れる…

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