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 大手法律事務所「アップルビー」などから流出した膨大な「パラダイス文書」には、英国のエリザベス女王といった数々の著名人や、米アップル社など世界的に事業を展開する多国籍企業の名が載っていた。国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)の取材で、タックスヘイブン(租税回避地)での経済活動の一端が明らかになった。(疋田多揚、軽部理人)

 「分配金の詳細」

 パラダイス文書の一つに、こう題された文書があった。日付は2008年6月12日。本文はこう続く。「みなさまに3千万ドル(約34億円)の分配金をお知らせいたします」

 受益者の中には、エリザベス英女王の個人資産を表す名称があった。

 それによると、女王は05年、タックスヘイブンで有名な英領ケイマン諸島のファンドに750万ドル(約8億6千万円)の個人資産を投資。3年後に36万ドル(約4100万円)の分配金の知らせを受け取った。

 女王のお金はこのファンドを通じ、別の会社へ投資された。英国の家具レンタル・販売会社「ブライトハウス」を支配下に置く会社だ。ブライト社は、一括払いができない客に年率99・9%の高利を求める手法が、英国議会や消費者団体から批判を浴びていた。

 女王の資産は、英国内での運用は一部が明らかになっているが、英国外での運用は知られてこなかった。女王の広報担当はICIJに「ブライト社へ投資されたことは知らなかった。女王は個人資産やその運用で得た所得税を納めている」とコメントした。

 ローマ・カトリック教会の聖職者がバミューダ諸島に会社を持っていたことも文書でわかった。メキシコ出身の故マルシアル・マシエル神父。「キリスト軍団」という修道会を創設し、「カトリック最大の資金貢献者」と称される一方で、神学生への性的虐待容疑で告発された人物だ。カトリック教会は、その資産を運用する団体がマネーロンダリング(資金洗浄)などの不正に長年かかわってきたと指摘されている。

 またヨルダン前国王の妻ヌール王妃は、英王室属領のジャージー島にある二つの信託会社から利益を得ていた。ブラジルの中央銀行総裁も務めたメイレレス財務相は、「慈善目的」でバミューダ諸島に財団を設立していた。約30年の独裁体制を強いたインドネシアのスハルト元大統領の2人の子どもも、アップルビーの顧客リストに載っていた。

 文書からは「セレブ」の資産運用も垣間見える。米歌手のマドンナ氏は医療用品販売会社の株を持っているほか、ロック歌手ボノ氏は、マルタに登録された会社の株を所有していた。

 米投資家で、ICIJに慈善団体を通じて寄付しているジョージ・ソロス氏もタックスヘイブンに置いた組織の運営に関し、アップルビーを利用していた。

 世界最大規模の米ネットオークションサイト「eBay(イーベイ)」創設者のピエール・オミディア氏がケイマン諸島の金融商品を所有していることもわかった。

■最貧国への税も…

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