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 10日に開幕する野球の明治神宮大会で17年ぶりの優勝を目指す慶大。「和製バレンティン」と言われ、プロ野球楽天にドラフト2位指名された4番の岩見雅紀(4年、比叡山)に注目が集まるが、今秋の東京六大学リーグで首位打者となった5番の清水翔太(4年、桐蔭学園)もリーグ優勝の立役者だ。日本一へ、慶大の「大砲」と「安打製造機」がチームを引っ張る。

 「よう打ったな。できすぎかな」。秋のリーグ戦終了後、清水翔は振り返った。今季は明大2回戦以外の12試合で安打を記録。リーグのシーズン最多記録の30安打には届かなかったが、24安打、打率4割8分、13打点と主軸として役目を果たした。

 好調のきっかけは、春のリーグ開幕前に打撃フォームを変えたことだ。オープン戦で社会人チームと練習試合をした時に「追い込まれても安打を打つには芯で捉えないと」とノーステップ打法に変えた。元々、バットに当てるのは得意だったが、さらに凡打が減った。春のリーグでは打率3割2分1厘でリーグ2位の15打点だった。

 夏は「そのままスイングスピードを上げればいい」と考えたが「不調で2割5分くらいしか打てなかった」。秋のリーグ戦は初戦で出た安打をきっかけに不安を払拭(ふっしょく)。打撃練習でも常に走者がいることを想定し、自分に負荷をかけ、練習から振り回さずにつなぐ意識で取り組んだことで試合での好調が続いた。

 もう一つ、験を担いで「打率を見ないこと」も好調の要因だったという。バックスクリーンのビジョンで打率を見た明大2回戦は、4打数無安打。そこからは打率を見ないようにしている。「おごっちゃいけないから。周りにも言わないでと言っている」という徹底ぶりだった。

 同期の岩見はリーグ歴代3位の21本塁打と何かと話題になりやすい。だが清水翔は「岩見は岩見。僕は安打でつなぐ」と冷静だ。優勝がかかった早慶戦では1、2回戦とも岩見が四球でつなぎ、清水翔が決勝点となる適時打を放った。「走者をためてつないでくれたからうれしい」と前向きに捉えている。

 卒業後は一般企業に就職するため、野球は神宮大会で区切りをつける。「未練はない。(神宮大会は)全力でできれば」と静かに闘志を燃やしている。(大坂尚子)