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 スマホで千円から株を売買できるサービスを提供する会社「One Tap BUY」(ワン・タップ・バイ)。4年前、49歳でこの会社をつくった林和人さん(53)の物語を続けます。

     ◇

 林は、焼き鳥屋でのバイトで毎日、最終電車で帰った。酒臭い乗客ばかりの中、ひとり、金融やコンピューターの本を読みあさった。

 大学を卒業し、教授のつてで東京で岡三証券に入社した。

 若いうちはチャレンジだと思い、海外営業を希望した。

 問題があった。英語ができない、のである。

 そこで、休みの日に、東京・浅草で外国人相手のガイドをするボランティアをした。さらに、ラジオ講座を聞くなど、寝る間を惜しんで英語を勉強した。イギリスでの語学留学に出される。3カ月で使い物にならなければアウトとされるところだったが、なんとかセーフ。

 留学中だった1987年10月、世界的に株価が大暴落した「ブラックマンデー」がおこる。

 大の大人がロンドンの金融街の中心で声をあげて泣いていた。その姿を見たときに、あらためて悟った。

 世の中はお金で回っている!

 語学留学を終え、現場で働きながら仕事を覚える研修に出ることになった。林は「香港」に手を挙げた。

 1987年の香港は、まだイギリスの植民地で、治安も最悪だった。「魔宮」と呼ばれる不法地帯もあり、どう考えても怪しいイメージがあった。

 ただ、上司の一言が林を動かした。

 「香港にはとてつもない大金持ちの華僑富豪がいて、日本の国家予算にも相当するほどお金を持っているぞ」

 香港を希望したのは林だけだった。87年12月、イギリスから香港に赴任した。会社に顔を出すと上司はいう。

 「おれの名刺をやるから、営業して客を開拓してこい」

 当時、治安の悪い香港で外回りをする日本人はいなかった。この上司も外出せず、タクシー通勤をしていた。

 林は、街をスーツで歩きまくっ…

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