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 金の密輸が急増している。財務省が7日発表した今年6月まで1年間の金密輸事件は前年比1・6倍の467件、脱税額も1・4倍の約8億7千万円と、いずれも過去最悪となった。同省は新たな密輸対策として、入国時の金属探知機による検査を原則とし、罰則も強化することなどを打ち出した。

 金を輸入する場合は税関に申告し、消費税を納める必要がある。税関に申告しない金の密輸は7割が韓国と香港からで、体に巻き付けて旅客機で密輸する例が多い。このため、年度内に主要空港などに金属探知機90台を設置。手荷物検査のためのエックス線検査装置も増やす。来年度からは、現在1千万円となっている罰金の上限を引き上げ、東京、大阪、門司の各税関に密輸調査専門のチームを置く。

 消費税がない香港などから金を密輸して日本国内で売れば、消費税分が利益となるため、密輸が後を絶たない。消費税率が高いほどもうけが増えるため、2014年に消費税率が8%に引き上げられてから密輸が急増しており、対策強化が課題だった。(栗林史子)

 福岡で相次ぎ発覚した金の密輸。手口が巧妙化する中、財務省は7日、専門の調査チーム設置や罰則強化の方針を明らかにした。

 福岡空港で4月中旬、税関検査場にいた韓国人2人の荷物カートに税関職員の目がとまった。側面の金属板を取ると金塊18個(8200万円相当)がテープで貼り付けられていた。税関関係者は「全国でもあまりない手口」と驚いた。

 足の裏、股間、偽装ネックレス……。密輸の手口は巧妙化している。税関は航空会社と協力し、渡航歴が不自然な人を把握するなどして取り締まっている。ただ金塊は隠しやすく密輸を見抜くのは難しいという。

 昨年の訪日外国人旅行者は2404万人で10年前の3・3倍。税関職員はこの間に613人増えたが、伸び率は7%にとどまる。

 密輸が発覚しても悪質性が低いなどと判断されると、罰金を払えば金塊は返却される。アルバイト感覚で加担するケースも目立つ。税関関係者は「金密輸による脱税は国民の税金が密輸組織に流れるようなもの。覚醒剤や拳銃のように厳罰化し、金も没収できるよう制度を変える必要がある」と指摘する。

 今回、財務省が厳罰化や検査態勢の強化を打ち出したことで、調査チームができる税関の幹部は「これまで限られた機材と人繰りのなかでやってきた。組織の解明や壊滅に踏み込んでいきたい」と期待を込めた。(加藤美帆)