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 ライフル銃や散弾銃で狩猟ができる「第1種銃猟免許」。年々、所持者が減少する中で70歳で免許の取得を目指す女性がいる。富山県氷見市熊無の山中でジビエ食堂「まいどはや」を営む川嶋光子さん。元々免許は持っていたが、3年前に病気で更新を諦めた。ただ、「マタギ」の家で育ち、狩猟解禁の時期が近づくと「血が騒ぐ気がする」といい、免許の再取得に挑む。

 川嶋さんは青森県出身。青函連絡船の乗員をしながら先祖代々の家業の「マタギ」をしていた父親に連れられ、幼い頃から狩猟に親しんだ。夫で氷見市出身の弐英(しきえい)さん(71)も銃猟免許を持つ。

 地域で捕れるイノシシやカモ、キジなどを食材として親しんでもらおうと、2002年に氷見市の隣の石川県羽咋(はくい)市でジビエ居酒屋「まいどはや」をオープン。店を切り盛りしながら夫の狩猟を手伝ううちに「自分の手で獲物を仕留めたい」との思いが募った。60歳の時に銃猟免許を取得した。

 「先祖代々のマタギの血が騒ぐのかもしれない」。夫と共に猟犬を連れて獲物を追うことが何よりも楽しかった。しかし、3年前に肩に帯状疱疹(ほうしん)を患って猟銃を持てなくなり、免許の更新を諦めた。

 「まいどはや」は昨年12月に自宅近くに食堂として移転。厚切りのイノシシ肉をのせたラーメンなどのランチが人気で、夜は予約制でカモやキジの鍋などを振る舞う。「殺生をしているという思いはある。せめておいしく食べてもらうことが供養になるはず」

 帯状疱疹は完治し、古希の区切りとして来年2月の銃猟免許試験を受けるつもりだ。試験には猟具や法令に関する知識を問う筆記試験や、銃の分解・組み立てを実演する技能試験があるが、「誰もやっていないことに挑戦したい」と意気込んでいる。

 県によると、イノシシなど鳥獣による昨年度の県内の農作物への被害は総額約1億円。狩猟や駆除のため捕獲されたイノシシは計4360頭で、駆除されたイノシシ3427頭のうち3割以上が氷見市で捕獲された。

 狩猟免許のうち、網・わな猟の免許所持者は年々増えているが、第1種銃猟免許の所持者は今年3月末現在745人。この10年で100人あまり減った。また所持者の59%は60歳以上。

 県自然保護課の担当者は「獣害を防ぐには、地域住民が日頃から野生動物を追い払う努力をして、すみ分けを図ることが大切」と話す。(松原央)