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 がんの治療で取り出した腎臓を、がんをとって別の腎臓病患者に移植する「病気腎移植」が先進医療に認められたことについて、厚生労働省の臓器移植委員会で8日、委員らから懸念の声が上がった。委員の1人、臓器移植患者団体連絡会幹事の見目(けんもく)政隆さんは「ドナー(臓器提供者)の保護を第一に考えるべきだ」と指摘した。

 東京西徳洲会病院(東京)が申請した病気腎移植は10月、同省の審査部会で条件付きで認められた。直径7センチ以下のがんで部分切除が難しく、ドナー候補となった患者が全摘出に同意した例が対象。4年で42例を計画している。これに合わせ、委員会では臓器移植法のガイドラインの改正を承認した。

 病気腎移植の背景には、脳死下や心臓停止下でのドナー数の不足がある。昨年の腎臓移植数は200例に満たないが、日本臓器移植ネットワークに登録して移植を待つ人は10月末現在で約1万2500人いる。

 患者側委員の見目さんは「この話が最初に出たとき、待つ側としてありがたい話だと思った。今は移植を前提とした全摘の手術をするなどのやり方では、ドナーへのメリットはないと感じる」と指摘。日本医師会常任理事の今村定臣委員も「ドナーへの情報提供がしっかりできなければ非常に問題だ。よほど慎重に追跡調査しなければ」と危惧した。

 日本移植学会など関連5学会も、ドナーや移植患者に十分説明するよう求める要望書を出している。

 事務局は、同様の懸念が審査部会でも議論されていると説明。関連学会から外部委員が入って客観性を高めたり、最初の数症例を審査部会で検証したりするなどの対応をしていく、と理解を求めた。(水野梓