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 人工知能(AI)を使って人の歩き方を分析し、高い精度で個人を識別できるシステムを、大阪大の研究チームが開発した。撮影時の体の向きが違う映像同士でも比較して識別できるのが特徴で、防犯カメラ映像による犯罪捜査などに役立ちそうだ。

 人の歩き方には、歩幅や手の振り方、姿勢などに個人ごとの特徴が表れる。大阪大の八木康史教授(画像認識)らは、こうした特徴を映像から抽出して個人を識別できる技術を開発。八木さんによると、すでに捜査現場での試験運用が始まっているが、従来の技術には、撮影時の体の向きが異なると識別の精度が落ちてしまうという課題があった。

 研究チームは今回、AIによる「深層学習」の手法を応用し、識別のポイントとなる歩き方の特徴を自動的に学習するようにシステムを改良した。「正面」と「横」など体の向きが90度違う場合、従来は識別率が6割程度だった。これに対して、新たなシステムでは識別率が95・8%に達することが、1万人の歩行映像を使った実験で確認された。また、大勢の人が写った映像から特定の人物を絞り込むことも可能になった。

 八木さんは「容疑者を特定する技術ではDNA型や指紋の鑑定には及ばないが、今回の技術は50メートル離れた場所からでも個人を識別できる。捜査の効率化につながると思う」と話している。(石倉徹也)