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 アマゾンは11月8日、様々な機能を音声認識によって操作するスマートスピーカー「Amazon Echo(エコー)」シリーズを、日本でも販売すると発表しました(写真1)。エコーと、そこで使われている音声アシスタント技術「Alexa(アレクサ)」は、海外においては圧倒的なトップシェアを持つ製品です。スマートスピーカーはすでにLINEとグーグルが日本国内でビジネスを開始していますが、海外ではアマゾンが本命であり、日本でも期待の大きなサービスです。アマゾンのエコーはどのような製品なのでしょうか? そして、アマゾンの音声アシスタントは、他社とどう違うのでしょうか? 解説します。(ライター・西田宗千佳)

スマホの埋められない「すき間」を音声で埋める

 エコーの詳細を説明する前に基礎知識として、スマートスピーカーとは何かをおさらいしておきましょう。スマートスピーカーは、ネットに接続された、マイク内蔵のスピーカーです。スピーカーというよりも、画面のないスマートフォンと考えた方がすっきりするかもしれません。音楽やニュースを聴くことはもちろん、天気やスケジュールなどの情報を音声で教えてくれたり、買い物ができたりします。アラームやちょっとした計算など、スマホで出来ることのほとんどはそのままできると思っていただいてかまいません。

 しかし、大きな違いが一つ。当然ながら、「画面がない」ということです。情報を文字や絵で表示することはできず、すべて合成音声で答えますので、スマホほど複雑な情報を示すことはできません。また、画面をタッチして操作することもできませんから、全ての操作は声で行います。音声でやって欲しい内容を話しかけると、それに応える形で働きます。

 スマホと同じことをすると考えるなら、スマートスピーカーは、スマホよりも面倒な機械です。しかし何よりの利点は、画面を見る必要がないことと、機械に触れる必要もないということです。例えば、料理中に調べたいことが出てきたり、タイマーを設定したりしたいと思った時はどうでしょうか? どちらもスマホで可能ですが、調理中は手がぬれていたり汚れていたりすることが多く、スマホを触るのは抵抗があります。ですがスマートスピーカーならば、声で「レシピを教えて」や「5分間のタイマーをセットして」と言えば大丈夫です。同じように、リビングでくつろいでいる最中、音楽を聴きたいとします。スマホを使えばもちろん再生できますが、スマートスピーカーの場合、曲名や好きなジャンルを指定して「再生して」と言えば音楽を流してくれます。本を読みながら音楽をかけることも簡単にできます。

 こうしたことは、本当にちょっとしたことです。しかし、我々の生活の中には、スマホを持っていない時やスマホを触れない時が確実にあります。そんな時でも、ネットの持つ力を使えるようにする機器がスマートスピーカーなのです。その性質上、リビングやキッチンなどでの利用が有望と考えられています。

 話す内容を解釈し、それに対して適切に話し言葉で答えてくれることなどから、「AIスピーカー」と呼ばれることも最近は増えてきました。しかし筆者は、AIスピーカーという呼び方は現状では不適切であると考えています。実のところ、日本以外の国ではAIスピーカーという言葉はほとんど使われていません。理由は、AI=人工知能と呼ぶには、スマートスピーカーや音声アシスタントが行っていることは限定的だからです。あくまでも人間の言葉を読み取り、その中に含まれるキーワードに応じて反応しているに過ぎません。過去に比べ、音声をかなり正確に聞き取ってくれるようになったことは素晴らしい技術的進歩ですが、これはAIとは違うものです。文章の意味を解釈し、より適切な反応ができるように技術開発が進められていますが、これも、AIという言葉が示す知能や知性とは異なるものです。スマートスピーカーは時に知的なウィットに富んだ回答をすることがありますが、それも現状は、ソフトが生み出したものではなく、人間があらかじめ仕込んだ要素です。

 ですので、この記事でも一貫してスマートスピーカーと呼んでいます。

アメリカでシェア7割、1年以上をかけて日本語化

 前置きが長くなりましたが、話をアマゾンが発表した「エコー」に戻しましょう。

 日本では、8月にLINEが、10月にグーグルが相次いでスマートスピーカーを発売しています。そのため、アマゾンは遅れてきたような印象を抱きます。しかし、世界的に見れば逆です。

 2014年、スマートスピーカーというジャンルの製品を最初に出したのはアマゾンであり、特に2016年後半以降、一気にシェアを拡大しました。特にアメリカ市場においては、マーケットシェアが70.6%と他社を圧倒している状況です(市場調査会社eMarketerの2017年5月公開のリポートから)。スマートスピーカーの圧倒的な巨人が、満を持して日本に参入したと理解すべきでしょう。

 アマゾンは今回、3種類のエコーを日本に投入しました(写真2)。一つ目はスタンダードな「エコー」(写真3)。比較的大きなスピーカーを搭載していて、音楽を聴くことに向いています。次にコンパクトな「エコー・ドット」(写真4)。スピーカーは小さくてあまりいい音は出ませんが、機能はエコーと全く同じ。エコーが1万1980円であるのに対し、エコー・ドットは5980円とかなり安いのも特徴です。「エコー・プラス」(写真5)はエコーに家電連携機能を追加した製品。「スマートホーム・ハブ」と呼ばれる機能を持っていて、対応しているLED電球やネット連動型の鍵(スマートロック)と連携して、声で家電機器を操作することができます。どれも基本的な声で命令すると声で答えてくれるという機能自体に違いはありません。

 ただし、どの製品もまずは招待者からの優先販売です。アマゾンのサイト上で購入希望を登録すると、登録順に購入メールが届くので、それに従って販売されていきます。最初の出荷は11月13日の週に行われる予定です。

 エコーでは、アマゾンが開発し…

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