【動画】建設が進む岡山理科大学獣医学部の予定地=遠藤真梨撮影
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 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)が運営する岡山理科大の獣医学部新設をめぐり、林芳正文部科学相は10日、大学設置・学校法人審議会(大学設置審)が新設を認める答申をした、と発表した。林氏は「答申を尊重し、速やかに判断する」と述べており、獣医学部は認可されて来春開学する見通しだ。

 学部新設をめぐっては、行政手続きへの首相官邸の関与などの疑惑や、それらに対する政府の説明の不十分さが指摘されている。ただ、林氏は10日の会見で「疑念について国会などで指摘を受け、答えてきた。また指摘が出てくれば、一つひとつ丁寧に答えていく」と述べ、一連の手続きに問題はなかったとの認識を示した。

 新設される獣医学部は、愛媛県今治市にできる予定。獣医学部は文科省が獣医師の需給の観点から規制しており、新設は52年ぶりとなる。

 政府は2015年、「新たに対応すべき分野での具体的な需要が明らかになる」など4条件が満たされた場合、獣医学部新設を検討することを閣議決定。昨年には「新たな需要がある」と判断し、国家戦略特区による獣医学部の新設を認めた。加計学園はこれを受ける形で今年3月に新設を申請したが、11月9日付の答申にあわせて公開された資料では大学設置審が「社会的な人材需要の動向が不明」などと指摘し、学園側に新たな説明を求めていたことも明らかになった。特区を認めた政府の判断も改めて問われそうだ。

 大学設置審は加計学園の申請について獣医師の需要の問題のほか、学生の実習計画の不十分さや、教員の年齢や人数などでも課題を指摘。5月には抜本的な見直しを求める「警告」を出していたことも分かった。学園は獣医学科の定員を160人から140人に減らすなど計画を修正したが、8月の審査でも実習について「実現可能性のある計画となっているか不明」と意見がつき、判断が保留された。

 加計学園は実習計画などを再び修正し、大学設置審は新設を認めたが、答申では定員の厳格な管理や実習の充実、高齢の教員が比較的多いことを踏まえた組織編成など、今後の運営で改善すべき項目を8点あげた。大学設置審は、特区活用の是非については審査をしていない。

 学園理事長の加計孝太郎氏は、安倍首相が「腹心の友」と呼ぶなど、親しい。文科省には、特区が認められる過程で内閣府から「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向だと聞いている」などと伝えられたとする文書が残っているが、安倍首相は自らの関与を否定している。(根岸拓朗)

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 《大学設置・学校法人審議会》 大学や学部の開設計画に問題がないかを調べる、文部科学相の諮問機関。大学教員などの専門家や企業経営者らが、教育内容や設備、運営法人の経営状況などを非公開で審査し、開設を認めるべきかどうかを文科相に答申する。文科相は通常、答申内容を尊重して認可の判断をする。

加計学園の獣医学部新設を巡る主な経緯

2015年6月 愛媛県と今治市が国家戦略特区を提案。政府が、4条件が満たされれば、特区による獣医学部新設の検討を認める「日本再興戦略」を閣議決定

 16年11月 国家戦略特区諮問会議で獣医学部の新設を認める方針を決定

 17年1月 特区諮問会議で加計学園が事業者に認められる

   3月 学園が獣医学部の新設計画を文科省に提出

   5月 大学設置・学校法人審議会が計画の抜本的見直しを求める「警告」

   8月 大学設置審が新設の判断を保留

   9月 学園が計画の修正案を提出

   11月 大学設置審が獣医学部新設を認める答申

大学設置審による加計学園への主な指摘

(矢印部分は学園による対応)

●ライフサイエンス研究など獣医師の人材需要が不明

 →企業や研究機関などのアンケートで需要があると説明

●実習の多くが短期集中型で内容も不十分

 →実習のコマ数や内容を見直し

●臨床系の教員が高齢層に偏り、実習を補助する助手がいないなど教員配置に問題

 →定員を140人に減らし、助手を採用