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 バチカンで11日に開かれた核廃絶と核軍縮をめぐるシンポジウムで、長崎市で1歳の時に被爆した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の和田征子事務局次長(74)が演説し、被爆者としての証言を交えながら核廃絶を訴えた。

 和田さんは、母親が和田さんに繰り返し語ってきた被爆後の惨状を証言。「母は人形のように焼かれる遺体の数とにおいにさえも、誰もが無感覚になったと話した。人間の尊厳とは何でしょうか」と出席者に語りかけた。

 その上で、「核兵器は無差別に、長年にわたって被害をもたらす非人道的な兵器で、再び使われれば同じ苦しみを世界中が背負う」と強調。7月に国連で核兵器禁止条約が採択されたことについて、「『再び被爆者をつくるな』と訴え続けてきた被爆者にとって大きな喜び。私たちの体験を通して人類の危機を救おう、と被団協が宣言した決意の実現に、一筋の光が入ってきた」と述べた。

 日本政府は条約について「核廃絶の目的は同じだがアプローチが違う」として不参加の立場を変えていない。和田さんは「核兵器廃絶のための小さな努力を重ねることが公共の良心であり正義だ。日本を含む同盟国と核保有国に、禁止条約への署名と批准を求める」と訴えた。

 約15分間の演説が終わると、出席者はみな立ち上がって拍手を送った。演説後、和田さんは「母が自分のそばにいるような感覚で、背中を押してくれたので言いたいことをすべて言えた。ノーベル賞受賞者や科学者など、出席した方々が自分の国で発信してくだされば、核廃絶への大きな力になる」と話した。(バチカン=河原田慎一)

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