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 ロシアの国家ぐるみのドーピング問題を巡り、公式に違反を認めるよう要求する世界反ドーピング機関(WADA)と、一貫して否定するロシアの対立が激しさを増している。12月に国際オリンピック委員会(IOC)と国際パラリンピック委員会が、ロシア選手団の平昌冬季大会出場可否を協議するためだ。

 ロシアのプーチン大統領は先月中旬、平昌五輪から同国選手団を締め出そうとする動きを批判。ロシア・オリンピック委員会のジューコフ会長は、ボイコット騒動に発展しかねないと示唆した。

 今月4日には2014年ソチ冬季五輪組織委員会会長だったチェルニシェンコ氏が、IOCが発表した金メダリストらロシア選手の永久追放処分を不服として「正当な証拠がない」と声明を発表。現在はロシア中心のアイスホッケーリーグKHLの会長を務めるため、抗議の一環として平昌五輪へ所属選手を派遣しない可能性に触れた。北米プロアイスホッケーリーグ(NHL)に続く強豪リーグの欠場は、大会のレベルを低下させる。

 8日にはロシア連邦捜査委員会がソチ五輪で国家ぐるみの違反はないと発表。違反はあくまでも個人的なものと結論づけた。

 対するWADAは10日、12年1月~15年8月にモスクワのドーピング検査所で実施された検査データが入った電子ファイルを入手したと発表した。内部告発者から提供された模様で、国家ぐるみの不正を裏付けるものとして、15、16両日にソウルで開く会議に提出するという。昨年に調査チームが不正を認定した報告書を裏付ける確固たる証拠になりそうだ。

 WADAは資格停止中のロシア反ドーピング機関(RUSADA)の処分を解除する条件として、組織的な違反を公式に認めること、モスクワの検査所に保存されている尿検体の提供とデータへのアクセスなどを求めている。

 ただ、ロシア側の現状から、処分解除は厳しい見通しだ。ロシアの組織的なドーピング違反を先駆けて報じたドイツ公共放送ARDも12日、RUSADAの処分は解除されない方針と報じた。資格回復が見送られれば、五輪やパラリンピックでロシア選手団が出場停止になる可能性がある。(遠田寛生)