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 東京都中野区白鷺1丁目の有料老人ホーム「ニチイホーム鷺ノ宮」で8月に入所者の男性(当時83)を殺害したとして、警視庁は14日、元職員の皆川久容疑者(25)=東京都杉並区方南2丁目=を殺人容疑で逮捕し、発表した。運営会社によると、皆川容疑者は事件後「大変なことをしてしまった」と話していたという。

 14日に記者会見した運営会社のニチイケアパレス(東京都千代田区)などによると、皆川容疑者は2014年に入社し、昨年6月から現場のホームに勤務。事件後の聞き取りに「大変なことをしてしまった」と泣き崩れたこともあったという。「介護に対する自信がなくなった」として9月21日に自主退職。その後、障害者支援施設で勤務していた。

 捜査1課によると、皆川容疑者は職員として勤務していた8月22日早朝、ホーム1階浴室で、入所者の藤沢皖(かん)さんを浴槽に投げ入れてお湯を張り、沈めて殺害した疑いがある。死因は溺死(できし)だったが、首付近の骨や肋骨(ろっこつ)も折れていた。

 皆川容疑者は調べに「布団を何回も汚され、いい加減にしろと思ってやった」と供述し、容疑を認めているという。「ベッドで一度首を絞めた。その後、浴室内も汚したので腹が立って浴槽に投げ入れた」と説明している。事件前夜から職員2人で勤務し、もう1人は別の階にいた。

 ニチイケアパレスは当時の勤務態勢について「国の基準を満たしている」としている。藤沢さんは2年ほど前からホームで暮らし、難病で介護が必要だったが、支えがあれば歩くことができ、他の入所者らとも親しく付き合っていたという。

 知人によると、藤沢さんは高校で教壇に立ち、熱心な教育者として知られた。特に帰国子女の受け入れに力を注ぎ、校長も務めた。退職後はキリスト教の教会の役員となり、礼拝や奉仕活動をしていた。知人の亀井周二牧師(68)は「いつもにこやかで穏やかな人。誰からも好かれて、悪く言う人はいなかった。あの皖さんが、どうして……」と話した。

増える介護施設での高齢者虐待

 介護施設などでの職員による高齢者への虐待は、増え続けている。厚生労働省の調査では、虐待件数は調査を始めた2006年度の54件から9年連続で増加。15年度には408件となり、被害者は778人に上った。自治体が通報を受けて虐待と判断したケースだけ集計していて、実際はさらに多いとみられている。

 職場環境が要因の一つになっていると指摘する声もある。介護職員らの労働組合「日本介護クラフトユニオン」が16年に組合員に「高齢者虐待は主に何が原因だと思うか」を複数回答で尋ねたところ、「業務の負担が多い」が54・3%で最も多く、「仕事上のストレス」が48・9%、「人材不足」が42・8%で続いた。

 厚労省は今年3月、自治体に再発防止策をとるよう通知。施設長を対象に研修を実施し、職員のストレス対策や早期発見のために介護相談員などの「外部の目」を配置することなどを促すよう求めた。

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