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 大相撲の東横綱日馬富士(33)=伊勢ケ浜部屋=が先月の秋巡業で同じモンゴル出身の東前頭8枚目の貴ノ岩(27)=貴乃花部屋=に暴行を加えた問題で、当初、当事者2人がそれぞれの師匠に事実を伝えず、把握した師匠も報告が遅れたため、角界の対応が後手に回ったことが分かった。日本相撲協会は被害届を受理した鳥取県警からの連絡で暴行から約1週間後の今月2日に内容を知ったが、その時点でも詳細は把握できなかった。

 先月26日の鳥取巡業の前夜にあった暴行の後、被害者の貴ノ岩は、けがの理由を尋ねた師匠の貴乃花親方(元横綱)に「転んだ」と報告。母校である鳥取城北高の関係者と病院へ行っていた。このため、同親方は暴行の事実を知らず、その後のけいこを続けさせた、という。

 実情を知った同親方が自ら被害届を鳥取県警に提出したのが10月29日。しかし、県警から報告を受けた協会の鏡山危機管理部長(元関脇多賀竜)が今月3日に電話で事情を聴いたところ、貴乃花親方は協会の巡業部長であるにもかかわらず、「よく分からない」と答え、被害届のことは報告しなかった。

 一方、日馬富士の師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は3日の電話で初めて事情を知った。加害者である日馬富士からは何の報告も無かったようで、「知らなかった」と話したという。その後、事実を確認した同親方は貴乃花親方に電話と場所前の理事会などで計3度、謝っている。

 2人の師匠が協会の聴取に詳細を報告出来ていれば、今月12日初日の九州場所前に対応は可能だったとみられる。福岡入り後、貴ノ岩がけいこを続けるなどしたことで協会側は軽度の負傷と判断。調査を滞らせたことは、協会のミスとも言える。

 貴ノ岩が初日から休場し、2日目に頭蓋(ずがい)底骨折などの診断書が出て、事態は表面化した。春日野広報部長(元関脇栃乃和歌)は、「場所前の時点で、まさか貴ノ岩が休むとは思っていなかった。『2けた勝ちたい』と本人が話したことが報道されていた。こちらの聴取の時点で被害届は出されていたが、2人の師匠もよく分かっていなかった」と話している。