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 大都会・東京にひっそりと残る、古くて懐かしさを漂わせる個人商店。ポーランド出身の作家、マテウシュ・ウルバノヴィチさん(31)は、街で見つけた店の姿を描く。温かみのあるイラストはSNSで話題を呼び、来年2月には作品集が出版される。

 江戸時代から続く木造の刃物店や、独特なフォントが目を引く布張りの看板。ほのかな色合いの影の先には、昔ながらのビールケースや瓶がある酒屋……。

 ウルバノヴィチさんが描く「東京店構え」は、4年間暮らした東京で見つけた個人商店を、水彩画で表すシリーズだ。イラストは取材・撮影した素材をもとにアトリエで作画するが、「僕の中で一度消化して、魂を吹き込むように描いている」。実際に足を運んで得た感触や雰囲気が伝わるよう、細やかな筆づかいで描く。

 初来日は首都・ワルシャワで送った大学時代。訪れた東京や京都の街並みにひかれて、留学を決意。神戸芸術工科大でアニメーションを学んだ。

 卒業後は千代田区のアニメ制作会社に入社し、主に背景美術を担当した。新海誠監督のアニメ映画「君の名は。」では、新宿の街並みなどの背景画を作った。

 その傍らで書きためた10枚が、店構えシリーズの始まりだ。多くの観客が喜ぶ作品を生み出す会社で学びつつ、自分のスタイルを確立しようと模索する中、自身のSNSに投稿し、支持を集めていった。

 7月に退社し、自宅兼アトリエを神奈川県藤沢市に移してからは、来年2月に出版する作品集に収める店のイラストを描く日々だ。担当する編集者は「表情があり、生活感や人がいる空気を漂わせる作風。彼の魅力は世界にも通用するはず」と評する。

 実は題材に使った店の3軒がすでに廃業し、後継者不足で取り壊しが決まった店もあるという。ウルバノヴィチさんは「東京の歴史を感じさせる格好いい建物があること、かつて大事に扱われていたことを伝えたい」と語る。

 「東京店構え」は税抜き2300円。編集はサイドランチ、発行はエムディエヌコーポレーション。アマゾンで予約受け付け中。(横川結香)