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 京都大学の本部がある吉田キャンパス(京都市左京区)に学生たちが置く立て看板が、京都市の景観を守る条例に違反するとして、行政指導を受けていることがわかった。京大は設置場所などの制限を検討している。大学紛争の時代も経て、様々な考えや身近な情報を伝えてきた通称タテカンは、美観とのはざまで消えゆく運命なのか。

 市が問題視するのは、キャンパスの敷地を囲む擁壁に立てかけられた看板や、敷地内にあるものの敷地外から見える看板。キャンパスは祇園と市北部を結ぶバス通りに面しており、周辺の道からは現在、20枚ほど目に入る。

 立て看板は「京大の文化」とも言われてきた。1960~70年代の学生運動全盛期と比べれば減ったとされているが、大学の軍事研究に反対する政治的主張や、人工知能(AI)を考えるフォーラム、LGBT(性的少数者)の権利を考える集い、サークルの演奏会や公演の告知まで、扱う内容は多様だ。

 朝日新聞が入手した文書によると、京都市はこれらの立て看板について、常時あるいは一定期間継続して屋外で公衆に表示される「屋外広告物」に該当すると判断。市の屋外広告物等に関する条例が設置を禁じている擁壁への立てかけや公道の不法占用に当たり、市長の許可も得ていないと指摘している。

 屋外広告物法は広告物の規制基準を定め、実際の規制は自治体が条例でそれぞれ行っている。京都市は条例で市全域を禁止地域や規制区域に指定しており、設置する場合は大きさや色などを審査し、市長が許可する仕組みだ。2007年、古都の景観を守る目的で新景観政策を打ち出し、厳格な適用を進めている。

 京都市広告景観づくり推進室は「条例違反の屋外広告物については順次、厳正に対応しており、京大への指導はその一環。京大といえども、特別な存在と認識していない」と話す。周辺住民の一部からは「立て看板は市の景観政策に反している」とする苦情も市に寄せられていると説明する。

 京大関係者によると、市の指摘を受け、大学は11月中旬、対策案を学内に示した。設置場所は大学構内を中心にし、設置できるのは公認団体に限定。大きさや設置期間の基準をつくるといった内容だ。

 学生や卒業生、かつての京大を知る人たちには困惑が広がっている。ツイッター上では「立て看板なくなるとかもう京大じゃないやん」「大学周辺の景観そのものに歴史的な特別の価値があるわけではない。(私はむしろ立て看が京大の歴史を表したものだと思う)」などの投稿があった。(足立耕作)

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