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 平昌(ピョンチャン)冬季五輪(韓国)が始まる来年2月は、1998年長野冬季五輪から20年にあたる。大規模スポーツイベントの課題である関連施設の後利用はどうなっているのか。

維持管理費重く一部休止へ

 8月末の土曜日。長野五輪のボブスレー・リュージュ会場だった長野市営そり競技施設「スパイラル」を、インラインスケートやスケートボード、マウンテンバイクが滑走した。

 日産自動車が主催し、1日限定でコースを遊び場に開放するイベント。市は施設を無償で提供した。全国からプロや家族連れらが参加した。だが、来年度から製氷は休止され、競技ができなくなる。年約2億2千万円(うち国の補助が約1億円)の維持管理費がのしかかるうえ、国内の競技人口は百数十人と少ない。安全面からレジャーなどの市民利用も難しい。

 老朽化も進み、存続には改修費も含めて10年間で市負担が20億~30億円余りと試算。解体しても13億5千万円かかるため、市は夏季トレーニング用などに施設は残す「一部休止」に。それでも10年間で2億円近くの市負担が必要とみる。市の担当者は「民間のアイデアを使いながら積極的な後利用を進めたい」と言う。

 一方で、多額の税金投入による五輪施設の存続には市民の厳しい目が向けられている。市は14年、スパイラルを含む市所有の6施設の維持管理費が年約10億円かかり、うち市負担が約4億円に上ることなどを示したうえで、アンケートを実施。「すべての施設をできる限り存続」と答えたのは3%で、利用状況などに応じて見直すべきだとの回答が9割を超えた。

 アイドルグループ「嵐」のコンサートを誘致するなど多目的な利用で収益が安定しているスピードスケート会場「エムウェーブ」など、スパイラル以外の5施設も改修に多額の費用が見込まれる。ただ、市は五輪施設を「大きな財産」と位置づけ、長く有効活用していきたい考えだ。

次世代育成の拠点に

 「長野五輪後もなお続く情熱で軽井沢アイスパークが造られ、そこで汗を流したSC軽井沢クラブが五輪へ行く。これ以上のレガシーはありません」

 今年4月、平昌五輪への出場を決めたカーリング男子のSC軽井沢クを応援するパーティーで、藤巻進・軽井沢町長が誇らしげにスピーチした。地元のチームの五輪出場は初めてだ。

 2013年に完成した「軽井沢アイスパーク」は国際大会も開かれる通年型カーリング場。長野五輪の練習会場で、夏季はプールとして利用されていた「スカップ軽井沢」が通年でプール営業されることになったことで、新たに総工費約21億円でカーリング専用施設として建設された。

 県内第1号のカーリング場は長野五輪に先立ち、若い愛好家らの手で造られた。95年オープンの「カーリングホールみよた」だ。カーリングが長野五輪で正式競技となり、軽井沢開催が決まった直後から、「地元から五輪選手を」と隣町の御代田(みよた)町の段ボール工場跡を借り上げ、草を刈り、砂をまき、断熱材を吹き付け、氷を張った。若者らはそこで練習に明け暮れた。

 この草の根の盛り上がりが、町のカーリング文化の礎となって今に続く。軽井沢アイスパークでは地元の約20チームによるリーグ戦などが開かれ、幼稚園時からカーリング教室で次世代選手を育てている。今も稼働するカーリングホールみよたも、年間約1万人に利用されている。藤巻町長は「20年前にまいた種が、根を張り、大輪の花を咲かせたのです」と誇る。(北沢祐生、渡辺芳枝)