[PR]

洛南高校(下)

謙虚の心、感謝の心、自信を持って生きなさい

 東寺の境内に位置する洛南高校は進学校でありながら、京都を代表する吹奏楽の名門校でもある。男子校として設立され、2006年から共学となったが、現在でも吹奏楽部は男子の割合が女子を上回っている。

 トランペット担当の尾仲由莉(おなか・ゆり)は、少数派の女子部員のひとりだ。部内では「オナカ」と名字呼びをされている。おっとりした性格で、少しドジなところもあるが、先輩、後輩を問わず、多くの部員から信頼されている2年生だ。

 中学校に入ってから吹奏楽を始めたオナカは、勉強と部活動をどちらも頑張ることのできる学校として洛南高校への進学を考えるようになった。志望校である洛南の吹奏楽部の定期演奏会を観(み)にいったとき、不思議なことが起こった。

 「あれ……、私、泣いてる……」

 いつの間にか頰を涙が伝っていた。演奏されていたのは清水大輔作曲《仲間たちへ~シャクルトン、伝説の南極遠征》。吹奏楽を聴いて涙が出たのは初めてだった。もう洛南に行くしかないと思った。

 部活動をしながら毎日塾に通い、オナカは念願の洛南高校合格を果たした。吹奏楽部に入ってみると、中学校とは男女比が逆転しており、戸惑うことも多かった。

 外部で本番の演奏をした後、洛南では締めに「ピ・オ」を行う。ホイッスルの音=「ピ」に合わせ、声を出しながら足を軽快に動かす伝統の所作だ。オナカは多くの男子部員と一緒に「ピ・オ」をやるうち、自分の声が男子につられて低くなってきていることに気づいた。

 バレンタインデーには男子部員すべてにチョコを配る。学年末考査の時期なのに、深夜までチョコを手作りした。

 他にも洛南には独特な風習がい…

有料会員に登録すると全ての記事が読み放題です。

初月無料につき月初のお申し込みがお得

980円で月300本まで読めるシンプルコースはこちら

こんなニュースも