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 産後うつは女性に起きるもの、というイメージが強いですが、実は男性にも起こります。最近、男性の産後うつの研究成果が報告されるようになり、対策の必要性が指摘され始めています。男性の産後うつにはどんな問題があり、どんなことに注意すべきなのか。研究を続ける国立成育医療研究センターの竹原健二政策開発研究室長に聞きました。

 ――「男性に産後うつなんて起きるのか」と思う人は多そうです。どんなことが最近分かってきたのでしょうか。

 私たちが2016年に発表した研究では、父親215人のうち36人(17%)に、パートナーの出産後3カ月以内に、少なくとも1回はうつの傾向がみられました。欧米ではこうした研究が積極的にされていて、世界中で実施されている研究を解析した論文では、8・4%の男性に産後うつがあるとされました。

 ――想像以上に高い頻度なんですね。女性の産後うつと、特徴は異なるのでしょうか?

 産後うつのリスク要因は、男女で大きく変わらないとされています。パートナーのうつ、経済状態が悪い、就労状況が不安定、本人に精神疾患の病歴がある、などです。妊娠期にうつや不安があったり、家族や周囲のサポートが十分でなかったりした場合もリスクが高いとされています。また、極端に若い年齢で父親になることも、うつ傾向との関連がみられました。女性は極端に高い年齢、いわゆる高齢出産もリスク要因とされていますが、男性ではこの傾向はありませんでした。

子どもの学力に影響も

 ――男性が産後うつになると、どんな問題があるでしょうか。

 多くの研究では、赤ちゃんの発育、発達に影響があると指摘されています。子どもへの本の読み聞かせの減少、体罰の増加などの乱暴な育児、言語発達や社会性の低下などもあげられています。義務教育が終了した時点での学力差に影響するという報告もあります。父親自身の自殺のリスクが高まることも指摘されています。

 ――赤ちゃんへの影響も大きいんですね。日本では、男性の産後うつの背景に、何があるのでしょうか。

 イクメンブームもあり、産後の父親に期待される役割が急増していることが、関係していると思います。本来はそれと並行して長時間労働が是正されていくべきでしたが、それが是正されないまま、イクメンが推奨されることになりました。総務省の資料では、一番下の子どもが6歳以下の働く夫が家事と家族のケアにかける1日あたりの平均時間は、米国3・08時間、英国2・36時間に対し、日本は1・15時間と非常に少ない。一方で、欧米に比べ、日本の父親は仕事と仕事中の移動にかかる時間は非常に多く、睡眠時間はほぼ同じか少ないぐらい。自由時間も少ない。本人の努力で削れるのは睡眠時間ですが、それでは体調を崩してしまう。社会全体で長時間労働を減らしていくことが大切だと思います。

■「母子保健」が排除す…

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