[PR]

 三重県名張市で1961年、女性5人が死亡した名張毒ブドウ酒事件の第10次再審請求で、名古屋高裁(山口裕之裁判長)は8日、請求を棄却する決定を出した。89歳で病死した奥西勝元死刑囚に代わり、妹の岡美代子さん(88)が2015年11月に再審を申し立てていたが、弁護団が求めていた事実調べなどは行われていなかった。

 第10次再審請求で弁護団は、ブドウ酒の王冠に封をしていた紙(封緘紙〈ふうかんし〉)ののりの成分を分析した鑑定結果など計28点の証拠を提出。「犯人が一度開けて毒を入れ、のりで封緘紙を貼り直したと推認される」などと訴えていた。9月には岡さんが意見書を提出し、「証拠や書類をしっかり見て頂き、きちんと証拠調べをして頂きたい」と再審開始を求めていた。検察側は弁護団が提出した証拠の信用性を否定する意見書を出していた。

 事件は1961年3月、名張市の公民館でブドウ酒を飲んだ女性17人が中毒症状を起こし、5人が死亡したもの。奥西元死刑囚は一審で無罪、二審で死刑判決を受け、最高裁で死刑が確定。05年の第7次再審請求で一度、再審開始の決定が出たが、その後取り消され、最高裁まで争ったが再審が認められなかった。奥西元死刑囚は第9次再審請求中の15年10月4日に病死した。