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特派員リポート 杉山正(アメリカ総局員)

 米国に赴任して1年余り。妻が第3子を授かり、米国で次男を出産することになった。私事ながら、慌ただしい出産劇と日本とは違う米国の出産事情を報告したい。

    ◇

 8月28日夕、ワシントンのアメリカ総局で会議中に妻からラインのメッセージが来た。

 「陣痛が始まったみたい」。予定日より1週間以上早い。私が不在時のシミュレーションをしていなかった。長男(6)を日本で出産した際には、妻は自力でタクシーを呼び病院に行った。今回は義母が日本から来てくれていたが妻と同様、英語は苦手だ。異国の地でタクシーや配車サービスのウーバーで向かうのは不確定要素がありすぎる。そもそも出産間近の妊婦をすんなり乗せてくれるのかも分からなかった。

 落ち着かない様子の私を見て、総局長が「どうしたの?」と会議を中断。事情を話すとすぐに帰るように言われ、地下鉄の駅まで全力で走った。

 改札を通ると運良く電車が来ていて飛び乗った。最初のメッセージを受けてからメリーランド州の自宅まで30分で到着した。過去最短時間での帰宅だったと思う。

 自宅ではソファに横たわり、身動きもできない妻を囲み、長男と長女(2)が「大変だ、大変だ」と興奮気味にあたふたしていた。義母も不安そうにしている。

 妻を抱えるようにして、エレベーターに乗ると破水。「戻って着替えたい」と言ったが、すぐに無理だと分かった。

 車で目指すはワシントン中心部の総合病院。これまで診察を受けていた産婦人科は自宅から徒歩圏内だが、米国では実際に出産する病院の場所は違うのが一般的だ。病院の見学ツアーには参加したが、緊急時にどこから入り、どう手続きするかを具体的には考えていなかった。なぜ「何とかなるだろう」と漠然としていたのか、自分でも分からなくなった。

 病院に電話すると、陣痛の間隔など様々質問されたが「今生まれそうなのですぐに行く」とだけ伝えた。

 車内で妻は陣痛が最高潮になり、助手席でうめき声をあげている。

 妻は「もう出てきちゃっていな…

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