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 ■18区 「土管戦争」割って入る希望

 衆院選公示の翌11日午前11時、武蔵野市の武蔵境駅南口。赤地に白抜きの字で「自民党」の旗が並ぶ。自民前職の土屋正忠氏がマイクを握った。

 「武蔵野で市民の生活を支えて50年。安倍政権では安保法制ばかりが議論されているように言われるが、教育や子育てにも予算を付けている。それが地域に反映されている」

 強調するのは地元とのつながりだ。同市出身で市職員や市議を経て市長を22年務め、2005年の郵政選挙で衆院議員に転じた。以来、東京18区は土屋氏と立憲民主前職の菅直人氏との「土菅(どかん)戦争」とも呼ばれる競り合いが続く。

 4選を目指す土屋氏の陣営には危機感が漂う。同市を舞台に、7月の都議選、今月1日投開票の市長選と自民系候補がダブルスコアで大敗。党が内規で定める衆院選比例区の「73歳定年制」で重複立候補ができず、陣営は「背水の陣。絶対に負けられない」。土屋氏は力を込める。「単なるスローガンやパフォーマンスの政治ではダメだ。やはり地元を大切にしないと」

 一方、小選挙区で土屋氏に連敗し、比例区で復活当選してきた菅氏は、民進の事実上の解党で立憲からの立候補となった。共産が候補者擁立を取りやめ、菅氏は「リベラル勢力を結集して戦う」と力説する。

 公示日の10日は小金井市の武蔵小金井、東小金井両駅前などを回り、「安倍首相の政治は、強い者が強く、弱い者が弱くなる。政治の役割は、市民が不幸になる要素をいかに少なくする『最小不幸社会』にすることだ」と訴えた。

 「原発ゼロ」も公約の一つ。街頭演説では首相時代に直面した福島第一原発事故に触れ、「私も日本の科学技術の水準なら安全だと信じていた。だが、世界で起きたことがない事故が起きた。今は原発に頼らなくても電気に困らないことが証明された」と主張する。

 陣営は、元民主都議が圧勝した武蔵野市長選での勝利に続け、と意気込む。

 この2人に割って入るのが、希望の新顔、鴇田(ときた)敦氏。元テレビ東京記者で政治、経済などの取材経験を持つ。千葉市出身で、党代表の小池百合子知事の政治塾に通っていた。9月末に党の主要メンバーから打診を受け、公示直前に立候補を表明した。「既成政党では国会が機能せず、国民に問題点が見えにくい。しがらみのない新しい政治勢力をつくるしかない」と決意を語る。

 39歳の時、先妻をがんで亡くした。「父子家庭で毎日を生きるだけで精いっぱいだった」と述べ、社会全体での子育て支援を訴える。

 18区内の武蔵野、府中、小金井3市選出の都民ファーストの都議が支援し、名前の浸透を図っている。

 (前多健吾)

 ◇18区(3)

 鴇田敦  51 希新

 

 菅直人  71 立(民)前(12)

 土屋正忠 75 自前(3)

 届け出順。年齢は投開票日現在。カッコ内数字は当選回数。希望・立憲・無所属の候補者の( )政党名は、原則として前職は解散時の政党、元職・新顔は解散時に公認予定だった政党を表す。(民)は民進

 ■17区 8選狙う自に希・共

 江戸川区の一部と葛飾区からなる17区。8回目の当選を目指す自民前職、平沢勝栄氏は11日夕、JR亀有駅前に立った。地元区議らがマイクで「お帰りなさい。21年間、国政で働く平沢勝栄です」と連呼した。

 過去に公明候補と争った経緯などから公明推薦を得ていない、都内25小選挙区で唯一の自民候補。他候補が「比例は公明」と口にする中、平沢氏のポスターには「比例代表も自民党へ」とある。抜群の知名度があるが、平沢氏は「選挙は勝てると思ったら負け。楽な選挙などは無い」と話す。

 希望新顔の西田主税氏は環境省を先月30日付で退職しての立候補。福島第一原発の放射性廃棄物の処理に関わった経験から「福島の復興がうまくいかないのは政官財のしがらみのため。行政の中で言いたいことを言えない空気を感じた」と話す。「しがらみゼロ、原発ゼロ」を訴えている。

 共産新顔、新井杉生氏は4回目の立候補。10代の頃から核兵器廃絶運動に参加し、演説ではノーベル平和賞を「ICAN」が受賞したことにも触れる。「市民の皆さんと共に、9条を守り、暮らしを守る政治を実現させよう」と、「野党共闘」での安倍政権の退場を強く訴える。

 (有吉由香)

 ◇17区(3)

 新井杉生 58 共新

 平沢勝栄 72 自前(7)

 西田主税 55 希新

 ■19区 共闘不調、不透明に

 自民前職の松本洋平氏が4選を狙う19区。10日、西東京市の田無駅前に現れた自民の小泉進次郎・筆頭副幹事長は、「2020年のあとを考えている世代を国会に」と松本氏の若さをアピール。松本氏は、都市農業を守る政策作りや、内閣府副大臣として災害対応に当たった実績を強調した。

 松本氏に2勝3敗と負け越している立憲民主元職の末松義規氏は、過去2回は比例復活もならず、巻き返しを図る。11日夕方には福山哲郎幹事長と国分寺市の国分寺駅前で街頭演説。初代復興副大臣の経験に触れながら、「原発はゼロにしたい。ドイツは福島の事故を受けてやめた。日本もやめましょうよ」と訴えた。

 これまで松本氏と末松氏の事実上のマッチレースが続いた選挙区。希望の参戦と、立憲と共産の候補者調整が不調に終わったことが、構図を不透明にした。

 希望が擁立した佐々木里加氏は女子美術大短期大学部の非常勤講師。都民ファーストの都議が支援し、犯罪被害者としての体験に基づく街路灯の増設や警察官増員を訴える。共産の杉下茂雄氏は、「憲法改悪を阻止する」と地道に街頭演説を続ける。

 (青木美希)

 ◇19区(4)

 佐々木里加 50 希新

 杉下茂雄  68 共新

 松本洋平  44 自前(3)

 末松義規  60 立(民)元(5)

 ◆「あの人」に言いたい!17衆院選/東京都

 □政権、安定運営して

 ●八王子市 農業男性(69)から安倍晋三さんへ

 憲法改正構想や森友・加計学園の問題を巡る対応などで行き過ぎがあったのは事実。でも人材の豊富さや実績を考えると、自民以外に政権党は考えられない。政権を維持できたら、安定運営を心がけてほしい。

 □無党派、もう辞めます

 ●世田谷区 会社員男性(30)から枝野幸男さんへ

 保守からは左、革新からは右と言われる僕ですが、無党派はもう辞めます。憲法が権力を縛って、国民が主権を握る。そんな当たり前のことが脅かされていると気づかせてくれた。僕の負けです。あなたと新しい党を支持します。政党を応援したことのない僕には、ちょっと恥ずかしくて、悔しいけど。

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