[PR]

 「重力波」とは、アインシュタインが、一般相対性理論の2年後に発表した、時空のゆがみが波の形で伝わっていく現象です。巨大な質量が光速に近い速度で運動すると、強い重力波が発生します。

 この重力波を世界に先駆けて「直接観測」すべく、日本が船出しました。岐阜県の神岡鉱山に建設が始まった東大の大型低温重力波望遠鏡「KAGRA(かぐら)」計画。4日、観測する地下空間のトンネル見学会も開かれました。

 重力波は、1974年、宇宙物理学者ジョゼフ・テイラーとラッセル・ハルスが、中性子星連星の観測で間接的な証拠が得られると予言し、79年に観測の検証を発表。93年にノーベル物理学賞を受賞しました。その後も重力波検出の努力は世界中で続けられます。

 今年3月には、アメリカの科学者らが、南極に設置した望遠鏡で宇宙マイクロ波背景放射の偏光を観測し、間接的な証拠と騒がれました。しかし根拠が薄弱とも言われ再検証が求められています。日本でも、90年代に国立天文台が重力波望遠鏡「TAMA300」を完成。21世紀初めに世界をリードする成果を上げましたが、その後、欧米に差をつけられました。

 アインシュタインの予言から約100年。誰も成功していない「直接観測」は、一般相対性理論研究の大きな柱の一つです。成功すれば、理論が予言する物質の動きと宇宙の関係が分かります。ブラックホールの形成プロセスなど、光では観測不可能な宇宙の姿を観測する新しい分野「重力波天文学」も誕生するでしょう。「KAGRA」の健闘を祈ります。

 (的川泰宣・JAXA名誉教授)

こんなニュースも