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 前衛芸術家・草間彌生(87)のすべてに出あえる――。東京・六本木の国立新美術館で2月22日から開かれる「草間彌生 わが永遠の魂」展は、そんな機会になるだろう。初期から新作までの約270点には、水玉や網目、鮮やかな色彩があふれる。世界で最も注目される美術家の一人、草間の最大級の個展だ。

集大成的、連作130点 「今まではプロセス」

 来場者が会場ですぐに目にするのは、50メートルプールほどもある大展示室の高さ5メートルの壁を埋め尽くす絵画群。2009年から取り組む連作「わが永遠の魂」の約130点に圧倒されるはずだ。

 多くが約2メートル角の大作。見る人は、赤、青、黄、緑といった色彩で描き出される人の顔や目、アメーバのような形状が舞う画面に抱かれる感覚を味わう。

 草間は今も、このシリーズを描き続ける。朝から夕方までスタジオで大作を手がけ、夜は自室で小品を制作。「アイデアはいくらでも出てくる」と本人は話す。食事を忘れることもあるという。

 まさに草間の「現在」を示す作品群だ。「どの作品も私の心の中から出ているから愛着がある。創造の意欲のすべてが現れています」

 展示はこの後、草間の「過去」を語り出す形になっている。

 荒れた家庭環境の中で草間は幻覚などの心の病に苦しみ、「絵を描くよりほかに方法がなかった」。そんな幼少期に母親を描いた1枚も水玉で覆われている。

 京都市立美術工芸学校で学んだ後、シュールレアリスムや抽象表現主義に通じる秀作を残すが、1957年に単身渡米。ニューヨークでは病や貧しさと闘いながら、網目が画面全体を覆う絵画や、反復する無数の小立体が椅子などを包む表現、さらには自分の体を使ったパフォーマンスを見せ、現代美術の最前線に立った。

 73年に帰国し、90年代からはエネルギッシュな活動と表現で世界的ブームに。昨年は米誌タイムの「世界で最も影響力のある100人」に選ばれ、文化勲章も受けた。

 展示は、その後再び「わが永遠の魂」の部屋に戻る構成だ。過去を知ることで、新作群の豊かさがさらに分かる。

 南雄介・国立新美術館副館長は、この連作は、網目や無限の反復、ポップな感覚といった過去の要素を備えた「集大成的作品」と位置づけた上で、「何十万人もの観客を集める現代美術家は、これまでいなかったのではないか」と語る。

 草間は、こう言い切る。「これからも命の限り、人類が踏み込んでいない新しい世界を開拓したい。今まではプロセスで、これが出発点です。多くの人が私の芸術を見て感動してくれれば、非常にうれしい」

 会場を出るとき、きっと草間の「未来」が見えてくる。(編集委員・大西若人)

2月22日から東京・六本木

 ◆2月22日[水]~5月22日[月]、東京・六本木の国立新美術館。午前10時~午後6時([金]および4月29日[土]~5月7日[日]は午後8時まで)。入場は閉館の30分前まで。[火]休館(5月2日は開館)

 ◆当日一般1600円(前売り1400円)、大学生1200円(同1千円)、高校生800円(同600円)。3月18日[土]~20日[月][祝]は高校生無料観覧日(要学生証提示)

 ◆本展オリジナルトートバッグとのセット前売り券(2千セット限定)や、南瓜(かぼちゃ)キーリングやマイクロファイバークロスとのセット券などお得な観覧券もあります。詳しくは公式サイト(http://kusama2017.jp/別ウインドウで開きます)で

 ◆問い合わせ ハロー・ダイヤル(03・5777・8600)

 主催 国立新美術館、朝日新聞社、テレビ朝日

 協賛 鹿島建設、岡村印刷工業

 協力 草間彌生スタジオ、パナソニック

 ◇本展の図録は開幕日以降、通販サービス「朝日新聞ショップ」(https://shop.asahi.com/別ウインドウで開きます)でも販売します。

 <作品はいずれも、(C)YAYOI KUSAMA>

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