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 太平洋クロマグロの保護と管理が正念場を迎えている。絶滅危惧種に指定されるほど減った海の幸の回復に向け、大消費国の日本は先頭に立つべきだ。

 昨年末以来、計12県の漁業者がクロマグロの漁獲ルールを守っていなかったことが明らかになった。必要な承認を受けずに漁に出たり、水揚げの報告を怠ったりしていた。

 日本も加盟する中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)は2014年、この海域のクロマグロの幼魚(1匹の重さが30キログラム未満)の漁獲を半減させることで合意した。これを受けて水産庁は地域や漁獲方法ごとに上限を設け、それを超えた場合は自粛を求める措置をとっている。

 今回のルール違反の中には、県からの自粛要請後も漁を続けていた例があった。再発を防ぐため、違反には罰則措置もある漁獲可能量(TAC)制度を来年にも適用する方針を水産庁は打ち出した。先を争って一気に取るような漁業を避ける方策も検討が必要だろう。

 ただ、問題はそこにとどまらない。資源管理の枠組み自体をさらに進めることが求められているからだ。

 WCPFCは昨年12月に開いた会合で、新しい資源回復措置の検討を始めることで合意した。EUや太平洋諸国、NGOなどから現行の規制では不十分との声が高まったためだ。

 背景には、厳しい規制でクロマグロが増えた大西洋に比べ、太平洋では回復の歩みが遅いとの見方がある。日本側は当初、漁業への影響などを理由に新しい方策に消極的だったが、最終的には合意に加わった。

 検討作業は今春から始まる。日本はクロマグロを最も消費してきた国として、実効的な資源管理措置をつくる責任を果たすべきだ。後ろ向きの姿勢を示せば、他の魚の資源管理での影響力も落としかねない。

 新たな措置に積極的に取り組むためにも、国内の漁業者の理解と協力が大切になる。例えば、沿岸の小規模漁業者には、より大規模な巻き網漁業のあり方への疑問が強い。漁法ごとの幼魚の漁獲枠の配分や、産卵期の親魚を巻き網漁で取ることへの不満や批判だ。こうした問題も改めて議論する必要がある。

 一部のスーパーでは、資源保護の視点からクロマグロの幼魚の販売をやめる動きがある。クロマグロは日常的に食べる魚ではない。当面、値段が上がったり、手に入りにくくなったりしてもやむを得ないことを、消費者として理解したい。

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