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 あるはずの盛り土がない。環境基準を超えるベンゼンやヒ素が検出される――。

 東京・豊洲新市場で次々と起こる問題の元をたどると、なぜ築地市場の移転先を東京ガスの工場跡地としたのか、汚染対策に巨額の費用がかかることが明らかになるなか、立ち止まることはできなかったのか、という疑問にいきつく。

 東京都議会が、市場の移転問題について調べる百条委員会を設置した。

 議会に求められるのは、偽証した場合の刑事罰など百条委がもつ強い権限を背景に、これまでの経緯を丁寧にときほぐすこと、そして、本来その時どきに果たすべきだったチェック機能をいまこそ発揮して、都民の関心にこたえることだ。

 豊洲への移転は石原慎太郎氏が知事だった2001年に具体化し、以来、都議会でも長年にわたって審議されてきた。

 だが、不明の点も残る。

 たとえば、昨年開示された都と東京ガスの00年秋の交渉記録によると、土地売却に難色を示した同社に対し、当時の浜渦武生副知事は「水面下」での交渉をもちかけた。その3年後、土壌汚染が残っていることを問題視した都の別の担当者に、東ガス側は「都も了解しているはずだ」と反論したという。

 何らかの約束があったことをうかがわせるやり取りだ。

 小池知事から書面で尋ねられた石原氏は「記憶がない」と答えた。百条委は石原、浜渦両氏はもちろん、東ガス関係者や当時の都庁職員らも広く招致し、全体像の解明に努めてほしい。

 一方で、この間の都議らの言動には疑問も少なくない。

 百条委の設置があっという間に決まった背景には、夏の都議選に向けて改革姿勢をアピールしたい思惑がある。

 だが、百条委は都議のパフォーマンスの舞台ではない。

 移転が本決まりになったのは、移転費用を計上した予算案が自民・公明・民主の一部などの賛成で可決された12年だ。土地の来歴や、新たに汚染が見つかっても東ガスに法的責任を問う仕組みがないことなど、いま挙がっている問題の多くは、すでに指摘されていた。

 「なぜ豊洲に決めたのか」という問いが向けられる先には、計画を認めた都議会も含まれる。その自覚なしに、勢いに乗る小池知事と共同歩調をとることを競う姿を見せられても、都民は鼻白むばかりだ。

 独自の調査力、真相を引き出す質問力、過去への責任。都議会もまた、問われる場となる。

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