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 子どもの貧困について考える機会が増えました。朝日新聞デジタルのアンケートに、8割以上の人が「関心が高まった」と答えています。貧困解消の責任を親、社会がどの程度負うべきかについての質問に今回、注目します。貧困家庭で育ち、若者の就職支援をしているNPO理事長の黒沢一樹さん(35)に話を聞きました。

 ■社会の子として支援

 「子どもの貧困の問題を解決する責任は親と社会のどちらに?」という問いに、すべて・どちらかと言えば社会の責任、または親と社会で半々と答えた人たちの声の抜粋です。

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 ●「医療関係者です。子どもの貧困は親の貧困だと実感することが多いです。調子が悪くてもなかなか受診できない子の親御さんも病気であったり、口の中が虫歯でボロボロの子のおうちは、親御さんもおじいさんも口の中がボロボロだったり。こうした環境で育つ子どもには、身体的影響だけでなく情操にも影響が及ぶと思います」(東京都・40代女性)

 ●「これから奨学金を700万円返します。大学に行った自分の責任。自己責任ですよね。日本に生まれてこなきゃよかった」(北海道・20代男性)

 ●「貧困は子供のせいではなく、子供が未来の社会をつくってくれると考えるなら、自分の子、というだけより、社会の子供としてもっと社会全体のサポートが必要だと思います。例えば、スウェーデンでは、子供の学費、保険、生活費などが国から支給されるため、親の負担も減り、シングルマザーでも子供を育てやすい。よく、国が違うから、そのまま制度を持ち込めないと言いますが、それは言い訳ではないでしょうか?」(海外・40代女性)

 ●「今の企業は高学歴や資格を多く求めています。そして、グローバル化に伴い、英語もある程度できているのが当然という時代にも差しかかろうとしています。そんな世の中で、貧困によって義務教育までしか受けることができない子供たちの将来は保障されているだろうか。これから社会を担う大人になるためにも、12年間義務教育をしっかり行うべきだ」(神奈川県・10代女性)

 ●「生活保護で約15万。母子手当が付いても20万。みんな好んで病気になったわけじゃない。働きたいけど働けない。お偉いさんたち、同じ生活を1カ月でも送って欲しい」(東京都・30代女性)

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 ■安心して勉強を

 ●「すべて親の責任にした結果困るのは社会だから、責任を押し付け合うべきではない」(東京都・20代その他)

 ●「現在シングルで高3と中2の子どもと年金暮らしの母と暮らしています。生活は、本当に厳しい。本当は、大学受験も何校かしたかったが、試験料も馬鹿にならず、1校のみ受験した上の子です。無事合格しても、今度は入学金が払えるかどうか、現在も金策中。奨学金の金額、返済期間を考えると怖くなります。学びたいと思っている子が、お金のことで、夢を諦めなくて良い世の中にしたいです」(北海道・40代女性)

 ●「親が貧乏で高卒後介護職や水商売で働きながら5年かけて看護師免許を取得しました。親の経済状況に左右されずに安心して高校ぐらいまでは勉強しておけるとよいのではと思います」(東京都・30代女性)

 ●「定時制高校に勤務し、極度の貧困状態から抜け出せずに中退していってしまう生徒がいると無力感を感じる」(宮城県・50代男性)

 ■「税金で解決」に怒り

 すべて・どちらかと言えば親の責任、という声の抜粋です。

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 ●「子供の貧困は、いわば親の責任であって負の連鎖。教育の重要性を理解させるところから始めないと、何も変わらないと思う。私はシングルマザーですが、子供に残せるものは教育だと思っています。幸い十分とは言えないまでも年収を得、子供には不自由なく教育の場を与えられています。それは、私の両親が私にしてくれた教育と思っています」(神奈川・50代女性)

 ●「真面目に働いて払ってきた社会保険や年金が切り捨てられる一方、親が原因である子供の貧困を税金で解決せよと言う意見に強い怒りを覚える。貧困の解決として大学までの支援、とか、何かおかしいのでは。貧困からの脱出は何より収入である。必要なのは、親と、義務教育修了後の本人の就労支援じゃないか。生活保護をあてにせず、仕事をえり好みせず必死で働き、身の丈に合った生活をすることをしっかり教育することではないのか。大学へ行けば誰もが公務員や大企業のホワイトカラーになれるとでも思っているのか」(京都府・60代男性)

 ●「私自身も、きょうだいが多くお下がり、学校の文具など新しいものは、買ってもらえませんでした。高校から、毎日アルバイトで授業料、生活費、携帯など出来る限り自分でやっていました。今、貧困と騒がれていますが、私自身も社会は助けてはくれなかったのに、今は助けるんですか? 貧困と分かっていれば、子供に、親のお金でスマホを持たせ、進学費、部活の費用を出さないでくださいね。私は、自分でやりました。お願いします。しないのであれば、国の支援を受けないで下さい。お願いします」(長野県・20代女性)

 ●「全てを親の責任にすることも出来ないと思う。社会のシステムの不具合という言い方も出来るし、社会のコンセンサスで解決出来る方法もあると思う。日本は資源の無い国なのだから、財産はこれからも子供たちしか無いと思う。貧困の連鎖だけは止めたい。貧富の差に関係無く、等しくチャンスが与えられて、正しくその能力や努力が報われる社会・国家にして行きたい」(神奈川県・50代男性)

 ■自己責任問う前に選択肢伝えて NPO法人若者就職支援協会理事長・黒沢一樹さん(35)

 都立の定時制高校30校で、労働法規や自己分析などキャリア教育の出張授業をしています。僕自身は中卒で、約50回転職してきました。働けばきょうだいが高校に行けるだろうと考え、高校進学はあきらめました。

 母が17歳で出産、実父の顔は知りません。3番目の父はあまり働かず、暴力を振るい、母の夜の仕事の稼ぎを使い込みました。妹と万引きして空腹を満たしました。

 小学4、5年生のころ、生活保護の存在を知り親じゃない大人に頼んだことも。でも、エアコンと軽自動車があるからダメだと。エアコンは電気代の滞納で動かないし、住んでいた熊本県では車がないと買い物も厳しかった。誰も助けてくれない状況が続くと「1人でやるしかない」と思うようになる。他者にすがったり、夢を持ったりした時は希望となるけど、ダメと分かれば絶望に変わります。

 支えもありました。寒い日や雨の日は地元の図書館に通い、館内の喫茶店のおばさんが「本を読んだら」という条件で、ピラフを食べさせてくれた。給食費は未納でしたが、先生のカンパで修学旅行に行かせてもらいました。

 現在の活動のきっかけは、大学生がテレビで「就職口がない」と話していたことです。中卒の私には甘えに見えました。でも、自分の経験を生かして何かできるかもしれないとも感じたのです。

 若者の就職支援を始め、貧困状態にある若者を、自己責任で切り捨てるのは怖いと気づきました。「支援策や機会もあるんだから、あとは本人次第じゃないの」という声もあるでしょう。でも、彼らは差し伸べられた手の握り返し方も分からないんです。できないんじゃなくて知らない。僕も給付型の奨学金を知っていれば、違う人生だったかもしれません。

 自己責任を言う前に、援助や選択肢、生き方を十分伝えられているかを問うべきではないでしょうか。関わっている定時制の高校生が、僕みたいに教員でなくても学校で仕事をしているのを見て、「教育関係の仕事したい」と希望を持ち始めたんです。

 困難を抱える子は、かわいそうな人と思われたくない。だから、「あなたのためにやっている」なんて態度や言葉はやめてほしい。「私がやりたいからやっている」という気持ちを伝えてほしい。そして、何かの形でお返ししたくなる仕掛けが欲しいです。うちの団体はイベントを手伝ってもらっています。

 (聞き手・中塚久美子)

 ◇次回3月6日は「Dear Girls」を掲載します。

 ◇アンケート「子どもの貧困 責任は?」をhttp://t.asahi.com/forum別ウインドウで開きますで実施中です。ご意見はasahi_forum@asahi.comメールするでも募集しています。

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