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 首相夫人は公人か、それとも私人か――国会でそんな論争が交わされている。

 きっかけは、大阪市の学校法人「森友学園」にからむ安倍首相の妻・昭恵氏の言動だ。

 昭恵氏は2015年9月、学園の幼稚園で講演し「こちらの教育方針は大変、主人も素晴らしいと思っている」と語った。

 首相は、国会で野党から学園理事長と昭恵氏の関係を説明するよう求められると、「妻は私人なんです」と反論。菅官房長官も「首相夫人は私人だ。国家公務員としての発令を要するものではない」と述べた。

 確かに首相夫人は公務員ではない。選挙で選ばれたわけでもない。一方で、昭恵氏は学園が新設予定の小学校の名誉校長に就き、学園はホームページで昭恵氏を「内閣総理大臣夫人」と紹介。先の講演には政府職員が同行していた。

 職員の旅費は昭恵氏が負担したというが、だとしても、一連の森友学園とのかかわりを単なる一私人の行為ということには無理がある。少なくとも公的な立場での活動とみるべきだ。

 政府の説明によれば、昭恵氏の行動は外務、経済産業両省の職員計5人が「サポート」しており、うち2人は常駐だ。

 首相の出張に同行した際には、国家公務員旅費法に基づき交通費が昭恵氏に支払われる。昭恵氏は第2次安倍内閣以降の日当は辞退しているというが、第1次内閣以降、約145万円が支払われている。

 昭恵氏は首相夫人の立場を活用して発信を続けてきた。

 昭恵氏がパーソナリティーを務めるインターネット番組「安倍昭恵チャンネル」は、「憲政史上初!! 首相公邸よりお送りします!!」と銘打つ。自民党の会議に出席し、東日本大震災の被災地での防潮堤建設に異論を唱えたこともある。

 首相夫人がその肩書を離れ、独立した個人として活動する場合もあるだろう。

 その場合も、言動には慎重な判断と、重い責任が求められるのは当然のことだ。

 昭恵氏自身、ファーストレディーの立場について、10年の朝日新聞の取材に「表舞台に出るからには、きちんと戦略を練って行動しないと、国益を損ないかねないと感じた」と語ったことがある。

 昭恵氏と森友学園や理事長との関係はどのようなものだったのか、疑念を呼んでいる。

 公的立場にある者として、昭恵氏には「私人」を盾にすることなく、国民が納得できる説明をする責任がある。

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