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 原発ビジネスのリスクの巨大さをまざまざと見せつける経営破綻(はたん)である。

 東芝の危機の元凶となった子会社の米ウェスチングハウス(WH)が行き詰まった。東芝の16年度の赤字は、国内製造業としては過去最大の1兆円に達する見通しだ。

 WHが米国で受注した原発の建設費が大きく膨らんだ。将来さらに損失が発生する恐れをなくすため、東芝はWHを破綻処理して連結対象から切り離し、うみを出し切ることにした。

 代償は大きい。巨額の赤字を穴埋めするため、稼ぎ頭の半導体事業を切り売りする。原発事業も海外からほぼ撤退する。

 WHは名門の原子炉メーカーで、06年に東芝が買収した。当時は原発の強みが注目され、世界的に建設が急増するとの見方が強かった。東芝は総額で5千億円超を投じ、業界首位への飛躍をねらった。

 ところが11年の福島第一原発の事故で、状況は一変した。国内では各原発が止まり、新規受注のめども立たなくなった。安全規制は世界的に強化され、建設費の上昇傾向が強まった。新設のペースも鈍っている。

 それでも、東芝の歴代経営陣が強気を貫いた結果が今回の事態である。高まる事業リスクを見誤った責任は重い。

 この問題は一企業の失敗では片付けられない。日本は他にも三菱重工業と日立製作所が原子炉を手がける原発産業大国で、政府も成長戦略の柱として原発輸出の旗を振ってきたからだ。

 どのメーカーも逆風への対応を迫られている。三菱重工は経営が苦しい提携先の仏アレバに対し、出資などで支援を強めている。日立は米GEと手がける核燃料の技術開発で、約650億円の損失を出す見通しだ。国内でも、日本の3社が核燃料事業の統合交渉を進め、中核の原子炉製造でも業界再編が避けられないとささやかれる。

 戦略の見直しが必要なのは、政府も同様だ。

 英国で日立などが進める原発計画をめぐり、日英両政府は昨年末に協力の覚書を交わした。日本の政府系金融機関が支援を検討するが、公的資金が焦げ付けば国民につけが回る。リスクの慎重な見極めが欠かせない。

 主要な売り込み先と期待する新興国も不透明さがつきまとう。ベトナムは昨年、日本製原発の導入計画を撤回した。

 そもそも、福島の事故を起こした日本が原発を輸出することには、さまざまな批判がある。東芝の失敗を機に、前のめりの姿勢を改めるべきだ。

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