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 韓国の大統領の多くが悲惨な末路をたどるという歴史の反復は、どうすれば断てるのか。

 20日あまり前まで大統領だった朴槿恵(パククネ)氏が、収賄などの容疑で逮捕された。大統領経験者の逮捕はこれで3人目となる。

 韓国は北朝鮮と朝鮮半島を分かつ国であるだけでなく、国内の政争が激しい。政治家・朴槿恵は、そんな様々な分断を体現するような存在だった。

 冷戦時代、南北の対立に巻き込まれて母を失い、独裁者と恐れられた父、朴正熙(パクチョンヒ)氏は側近の凶弾に倒れた。

 父の死後、周囲は次々と去ったが、そんな時にも寄り添い続けたのが、今回の事件で共犯関係にあるとされる知人だった。

 深い人間不信がいつしか独善につながったのか、朴容疑者は自ら信じる「正しさ」を前面に押し出すようになった。政権発足後も、反抗的な少数政党を解党させるなど異論排除の傾向が強まり、敵か味方かを決める二項対立が激しさを増した。

 その構図は対外関係にも表れた。北朝鮮とは実質的な対話はできなかった。日本とは慰安婦問題のために、首脳会談がなかなか実現しなかった。

 末期を除き、比較的高い支持率に恵まれたにもかかわらず、4年の間に目に見える実績は、国内政策でもほとんど残せなかった。過剰ともいえる自意識の強さゆえ、他者との協調ができなかったことが大きい。

 韓国には、北朝鮮との付き合い方や、日米中をはじめとする周辺国との関係、独特の地域感情など多くの理念と情念の対立が残る。それらの一つの象徴だった朴容疑者の逮捕を契機に、国内の統合に向けた歩みを進めるべきだろう。

 韓国ではこれまでも、大統領の親族や知人らが絡む金銭授受事件が頻発した。今回も朴容疑者の特有の問題にとどまらない構造的な欠陥が指摘される。

 多くの問題の根は、大統領への権限の集中にある。司法機関や放送局など各界代表の任命権を独占している。利権を求める者が大統領周辺に群がり、その競争の勝者と敗者の間でも分断が広がる弊害が続いてきた。

 民主化から30年を迎え、官僚組織は安定的に機能しており、民間部門の公的役割も増えている。大統領が一切を仕切るような統治システムが今も韓国に適しているとは思えない。

 大統領選は5月9日に迫る。各党の候補選びが熱を帯びる。問題の再発を防ぎ、国民の統合に役立つ手立ては何か。各党は制度設計の見直しを含めた対策づくりを急いでほしい。

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