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 国際社会の安定に重い責任を負う二つの大国の指導者の初顔合わせである。

 安全保障や経済など地球規模の課題、差し迫った核の脅威にどんな処方箋(せん)を示すのか。米中首脳の会談は、期待はずれに終わったといっていい。

 焦点だった北朝鮮の核・ミサイル問題について、両国首脳は「深刻な段階に達した」との認識を共有したという。だが、どう解決に取り組んでいくのかの具体策は示されなかった。

 米国によるシリア・アサド政権軍基地への攻撃が、会談に影を落としたのは明らかだ。

 米国としては、北朝鮮への警告や、中国に北朝鮮へのさらなる影響力行使を促すねらいもあったのだろう。

 米側によると、トランプ大統領は、化学兵器を使用したアサド政権への軍事的対応の必要性を習近平(シーチンピン)国家主席に説明。習氏も「理解を示した」という。

 だが、米国の「単独行動」にまで、中国がお墨付きを与えたわけではあるまい。

 実際、事実解明や国際社会への説明も一切省いて武力行使を強行した米国の対応は、より事態を複雑にさせかねない。

 北朝鮮が「攻撃されないために核兵器が必要だ」と態度を硬化させる恐れも否定できない。これで中国側が戦略の再考を迫られることになれば、解決はさらに遠のく可能性がある。

 もう一つの焦点の通商問題では、貿易不均衡問題を是正するための「100日計画」を作ることで合意した。

 だが、果たして国有企業の優遇でゆがんだ中国経済を正すことにつながるのか。自由貿易を損なう国家の経済活動介入を助長する方向に向かわないか、疑念がぬぐえない。

 もともと今回の首脳会談に関しては、秋に共産党大会を控える習氏が対米関係安定の演出をねらい、一方のトランプ氏も低迷する支持率の回復をめざして中国に圧力をかける姿を米国民に見せたいという構図で、互いに利用し合う様相が濃かった。

 たとえそうでも、経済・軍事的に権益の拡大へと突き進む新興大国の中国を、いかに「法の支配」を基盤とした国際協調に引き入れていくかが、究極的に米国に期待された役割だ。

 会談では両国首脳をトップに外交、経済、社会など幅広い問題を話し合う「米中包括対話」の新設も決まった。

 それぞれの狭い国益の追求だけでなく、国際社会や東アジアの安定と繁栄を見すえた実のある議論の場となるのか、注視していく必要がある。

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