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 米国と北朝鮮の軍事的な緊張が高まっている。

 トランプ米政権が原子力空母カールビンソンを朝鮮半島近海に向かわせた。シリアへのミサイル攻撃に続く「力の誇示」である。北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)政権はこれに強く反発している。

 ティラーソン米国務長官は、過去20年間の米国の北朝鮮政策を「失敗」と批判し、「あらゆる選択肢を検討する」とする。

 問題は、あらゆる選択肢と言いながら、軍事力による示威ばかりが前面に出て、対話による外交努力が後景に退いていることだ。

 確かにこの20年来、北朝鮮の核・ミサイル開発を止めようとする国際社会の試みは挫折を重ねてきた。

 北朝鮮の核開発凍結の見返りに、軽水炉型原発の提供を決めた94年の米朝枠組み合意もその一つだ。米朝に日韓中ロを加えた6者協議も休眠状態が続く。

 一方で米国が対話を拒んだことが、結果として、北朝鮮の核・ミサイル開発を進展させた面もある。北朝鮮が非核化措置をとるまでは交渉に応じないとするオバマ政権の「戦略的忍耐」が、北朝鮮に核実験などを繰り返させたことは否めない。

 トランプ政権の体制が固まらない中で日本の役割は大きい。

 これまでの北朝鮮政策を振り返り、何がうまくいき、なぜ挫折したのか。その経験と教訓をふまえ、軍事に偏らない選択肢をトランプ政権に説く。それこそが、日本がいま果たすべき喫緊の使命だ。

 米朝間は危機管理の仕組みも対話のルートもほとんどない。軍事的な緊張を高めれば、偶発的な衝突の恐れもある。

 北朝鮮は、直ちに周辺国に深刻な打撃を与えうる反撃力をもっている。

 国民の生命より体制維持を優先する金政権の出方は予測不能だ。軍事的な圧力が通用するとは限らない。

 米国が北朝鮮への軍事行動に踏み切れば、韓国だけでなく、日本も反撃の対象となる可能性が高い。北朝鮮は在日米軍基地が攻撃対象と公言している。

 そんななか、安倍政権が米国の「力の誇示」を評価する姿勢を示していることに疑問を禁じ得ない。

 大事なのは、対話による危機回避の道筋を描くことだ。

 G7や国連の枠組みに加え、日米韓による6者協議の首席代表者会議も、月内に予定されている。北朝鮮に影響力を持つ中国との連携も欠かせない。

 あらゆる場での日本の外交努力が問われている。

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