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 熊本地震の最大の特徴は、2度にわたって震度7の激しい揺れが襲ったことだ。

 そしてもうひとつ、目を引く事実がある。避難生活や車中泊などが原因で命を落とした「関連死」の割合の高さだ。家がつぶされるなどして亡くなった人が50人なのに対し、関連死は3倍以上の170人にのぼる。

 最初の地震からきょうで1年。助かった命をこれ以上失わぬよう、被災者のサポートをさらに充実させたい。

 現地では、4万を超す人が仮設住宅で初めての春を迎えた。一方、壊れた家屋が手つかずのまま残されている地区も少なくない。まさに「復旧」から「復興」への移行期にある。

 この時期は被災者の心が沈みがちになると、阪神や東日本などの震災で支援に携わってきた専門家らは警鐘を鳴らす。

 復興の道のりを歩み始めたばかりで、ゴールは遠い。なのに道路やインフラ整備の応急対策は終わり、外形の変化は乏しくなって停滞感が漂う。ボランティアの姿も以前より減り、取り残された気分におちいる――。

 そうした被災者が閉じこもるようになり、孤独死や関連死の危険が高まるという。

 熊本県益城町では先月、仮設住宅で一人暮らしをしていた男性(61)が亡くなっているのが、死後数日して見つかった。

 これまでの熊本地震の関連死は、70歳以上の人が昨年4~5月に亡くなった例が大半を占める。だが、高齢者・被災直後だけが要注意という話ではない。

 東日本大震災では、被災1年を過ぎてからの関連死が全体の2割(744人)におよぶ。阪神大震災では、発生から5年の間に仮設住宅で233人の孤独死があったが、その半数は50~60歳代の男性だった。

 関連死を減らすには、亡くなった人の年齢や死因、どんな避難生活を送っていたかなどの実態解明が欠かせない。そこから課題を見つけることが、今後の災害対策につながる。

 しかし現状では、関連死の詳しい情報は各市町村がバラバラに持っているだけだ。共有されず、教訓は埋もれたままになっている。国や都道府県が責任をもって収集・分析し、社会に還元していろいろな人の知恵を集めるべきではないか。

 熊本では被災者の戸別訪問などが続けられているが、「人手も資金も足りない」との嘆きが聞こえる。官民が協調し、支援の網の目を細かくしてほしい。

 被災者への働きかけを少しでも増やす。そうすることで、これから救える命がある。

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