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 第2次大戦後で最悪規模の人道被害が懸念される事態だ。

 アフリカと中東で深まる食糧難で、2千万人以上が飢餓に直面している。

 特に南スーダン、ナイジェリア北部、ソマリア、中東のイエメンの状況が深刻だ。国連は2月、南スーダンの一部地域が「飢饉(ききん)になった」と宣言した。

 餓死者などが一定のペースを超えて認定される飢饉の発生は、約26万人が死んだ6年前のソマリア干ばつ以来である。

 今回も一部で異常気象の影響が認められるものの、主たる原因は紛争だ。

 南スーダンではこの1年で民族紛争が全土に拡大した。以前は比較的安定していた農耕地域でも戦闘がおきている。農民らが逃げ出し、生産が途絶えた。

 支援も困難を極める。物資を運ぶ車両を武装勢力が妨害し、略奪も横行する。政府軍の関与まで疑われるありさまだ。

 政府軍と反政府武装勢力が内戦を繰り広げるイエメン、イスラム過激派の掃討作戦が続くナイジェリアも似た状況という。

 紛争と国家統治の崩壊。「人災」以外の何ものでもない。

 生命の危機にさらされる人を救う緊急支援から、長期的な和平実現まで課題は山積する。だが世界の関心はまだ低調だ。

 国連は7月までに約5千億円の資金が必要だと見積もる。しかし、3月中旬までに集まったのは、その1割にすぎない。

 何より懸念すべきは、大幅な予算削減を打ち出した米国の対応だ。「海外の人々に使う金を国内に回す」と米当局者は話し、対外援助に大なたが振るわれる可能性がある。

 イスラム過激派の温床となる貧困や格差、絶望感の解消こそが、長い目でテロ根絶につながることを、トランプ大統領は理解する必要がある。

 安倍政権は、南スーダンでの平和維持活動(PKO)から自衛隊を撤収する理由を「国内の安定に向けた政治プロセスの進展」とした。現実から目をそらす強弁の感がぬぐえない。

 むしろ情勢悪化を率直に認めたうえで、食糧問題解決の取り組みで日本が国際社会を先導する姿勢を示すべきだろう。

 緊急を要する事態だ。何も国だけが支援の担い手ではない。

 国連が定めた「持続可能な開発目標」(SDGs)に賛同して、経営戦略に採用する企業が日本でも増えている。SDGsは飢餓の解消も掲げており、企業や個人の貢献も期待される。

 生きる基本である「食べること」を守るために、一人ひとりができることから始めたい。

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