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 政府の衆院選挙区画定審議会が、小選挙区の区割り見直し案を安倍首相に勧告した。

 青森、岩手、三重、奈良、熊本、鹿児島の6県の小選挙区を一つずつ減らすのをはじめ、全国19都道府県の97選挙区の境界線を変える。

 問題は多いが、これ以上「違憲状態」を放置できない。政府と与野党は勧告に基づき、関連法案を速やかに成立させなければならない。

 区割り改定の勧告は3回目。16年前の20都道府県の計68選挙区、4年前の17都県の計42選挙区より対象が膨らんだ。

 2020年の推計人口でも、「一票の格差」を2倍未満にするため、人口の多い都市部の選挙区も数多く見直したからだ。

 この結果、最高裁が過去3回の衆院選に対して「違憲状態」と指摘してきた一票の格差は少し縮まり、15年の国勢調査時点で最大1・956倍。20年の推計で1・999倍になる。

 格差を是正するために、「市区町村は複数の選挙区に分割しない」という原則が守られない例が続出した。複数の選挙区に分かれる市や区などは、現在の88から105に増えた。

 とりわけ東京23区では新たに港、新宿、台東、品川、目黒、中野、杉並、豊島、板橋区が分割される。

 同じ自治体でも違う選挙区になる場合が増えることで、地域の一体性が薄れることもあるだろう。だが、ここは投票価値の平等を優先するべきだ。

 忘れてならないのは、今回の改定が、都道府県の間の定数配分が抜本改革されないまま行われたことだ。

 現職議員が多い自民党の主導で、人口比に応じて定数を増減させる「アダムズ方式」の導入を20年の国勢調査以降に先送りしたためだ。

 その意味で今回の改定は、いわば「応急措置」に過ぎない。20年の国勢調査後には、アダムズ方式による大規模な見直しが改めて迫られる。

 政党や議員も大変だろうが、元はといえば自民党の党利党略のツケである。

 何よりも心配なのは有権者の混乱だ。影響を最小限に抑えるために、十分な周知期間を設けるべきだ。過去の改定では法成立から施行まで1カ月余りだったが、今回は対象が多い点を考慮した方がいい。施行まで衆院の解散・総選挙をすべきでないのは当然だ。

 有権者は自分の選挙区がどうなるのか、確認してほしい。目の前の道路の向こうは違う選挙区かもしれない。

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