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 大学への進学のしやすさが、生まれ育った場所がどこかで大きく左右される。そんな理不尽な現象が広がっている。

 大学進学率は最も高い東京都が64%なのに対し、最も低い鹿児島県は31%。しかも約10年前の調査から差は開いている。

 東京、大阪、愛知の高校を卒業した人は5~7割が地元の大学に進むのに、東北の一部や山陰では逆に8割の生徒が県外に出るという統計もある。

 生徒に県内への進学を促しても解決策にはならない。志望する学科がなかったり、教育や研究の水準がいまひとつだったりすれば、当然、二の足を踏む。地方の小規模な大学に定員割れが目立つ一因でもある。

 そして、県外に出ることになれば下宿代を含め教育費がかさむ。家計に余裕がない生徒は進学自体をあきらめる――。こうした事情が重なり、深刻な進学格差が生まれているのだろう。

 放置していい問題ではない。奨学金の充実や、単位互換の協定を結ぶ大学同士の「国内留学」の活性化などを急ぎたい。

 何より考えるべきは、現にある地方大学の魅力を見いだし、磨き、輝かせることだ。

 地元の自治体や企業と手を結び、地域の課題を探る。その解決に必要な研究をし、人材を送り出す。そんな取り組みで存在感を増している大学がある。

 長野県の松本大学は周辺の市町村と連携。お年寄りに健康指導をして、医療費の削減に貢献している。同大の教授が開発に携わったという「速歩」による健康法を生かした事業だ。

 学生も、現場実習に出ることで地域の人々に育てられる。専門性を買われて役所や病院に採用される学生も出てきた。

 福岡市の中村学園大学は、「食」に活路を見いだす。この春の新学科開設にあたっては、九州の食品企業や自治体に呼びかけ、一緒にカリキュラムを練った。商品開発やインターンシップでも協力し合う。

 政府の有識者会議では、東京での学部の新増設を抑えるなどの策が検討されている。だが過去に似たような施策を行ったときも効果は思わしくなかった。人為的な規制や調整で実現できることは限られよう。

 地元の大学が魅力に欠けていては、優秀な人材は育たず、地域の将来の担い手たる若者が流出するのも止められない。手をこまぬいていては、活力はそがれるばかりだ。

 県や市町村は危機意識を共有し、大学を地域のシンクタンクとして育て、活用していく連携の輪に加わってほしい。

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