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 人やマネーが国境を越えて行き交うグローバル化に、どう向き合うべきか。

 この問題が真正面から問われたフランス大統領選挙で、中道・独立系のエマニュエル・マクロン氏が当選した。

 国をさらに開き、多様な社会を築いて繁栄をめざす。そんな主張で、自国第一や移民規制を掲げた右翼・国民戦線のマリーヌ・ルペン氏を破った。

 高失業率が続く閉塞(へいそく)感、テロの不安はいぜん根強い。それでも、国境を閉じれば多くの問題が解決するかのようなルペン氏の安易な論法に、仏国民が下した冷静な判断を評価したい。

 欧州連合(EU)離脱を決めた英国民投票、トランプ米政権誕生など、自国優先やポピュリズム(大衆迎合)政治の世界的な潮流は、このフランスの結果でいったん止まった形だ。

 しかし、同じ問いは今後も続く。グローバル化は、産業の国外流出をもたらし、格差を広げる脅威か。それとも経済を活性化するチャンスか。それは、日本を含む先進国に共通する課題であり続けるだろう。

 マクロン氏は、法人減税や雇用改革による産業競争力の強化と、失業者向けの職業訓練など弱者救済の双方を説く。その改革に、新政権の浮沈がかかる。

 対外的には、多国間主義を体現するEUでフランスの指導力を取り戻す必要がある。国際協調の旗手として、ドイツと共に自国第一主義の波を食い止める責任を果たしてほしい。

 その前途は平坦(へいたん)ではない。

 独自の政治運動を立ち上げてから1年しかたたないマクロン氏がまず越えるべきハードルは6月の総選挙だ。議会で多数派を得られなければ改革は始動しない。ただちに政治基盤づくりに取りかかる必要がある。

 もう一つの不安は、マクロン氏自身の経歴に由来する。

 投資銀行幹部などエリート街道を歩んできただけに、弱者に配慮した政策に取り組めるのか。今回の大統領選の投票率が1969年以来最低を記録したことに、不信感が表れている。

 ルペン氏は敗れたとはいえ国民戦線として過去最多の票を獲得した。グローバル化に反発する層の受け皿になった。

 マクロン氏はこれまで以上に丁寧に、自らの政策について国民に説明を尽くし、社会の分断解消に努めてもらいたい。

 改革が頓挫すれば、政治不信はより深まるだろう。安易な解決策を説くポピュリズムが息を吹き返し、自国第一主義がさらに国際社会を分断する。そんな事態は避けねばならない。

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