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 もはや中国を脅かす国がないのに、なぜ軍拡を続けるのか。これは多くの国々の人々が共有する疑問といっていい。

 中国初の国産空母が先月、進水した。それはアジアと世界の平和と安定に資するのか。逆に脅威というべきではないか。

 現在、中国軍が保有している空母「遼寧」はウクライナから買って改修したもので、すでに南シナ海などで航行を重ねている。これは訓練段階であり、今度の新たな空母がいよいよ実戦用なのだという。

 実際の就役は2、3年後だ。設備を取り付け、試験を繰り返さねばならないからだ。

 上海でも1隻を建造中と伝えられるが、空母を常時運用するならさらに数隻必要になる。艦載機や護衛艦艇をそろえた形で本格運用されるまでには、まだ時間がかかりそうだ。

 とはいえ中国は高性能の潜水艦や駆逐艦の数も着々と増やしてきた。1980年代以来の海軍力増強の重大な到達点として、この国産空母がある。

 中国政府が繰り返す「平和的発展の道を歩み、防御的国防政策を堅持する」という公式見解は、とてもうのみにできない。

 たしかに、経済大国となった中国の権益は、世界中に及ぶ。航路の安全を図ることは重要であり、中国のみならず各国の利益につながる。東アフリカ・ソマリア沖の海賊対策では、中国の軍艦も商船を保護する活動に実績を残している。

 求められるのは、国際協調のもとで、透明性をもって発揮される抑制的な軍事力の運用である。そうでなければ他国の脅威になるだけだ。間近で圧力にさらされる東南アジアの国々にとっては、なおさらだろう。

 南シナ海域では、中国海軍が艦艇を派遣して島や岩礁の支配権をベトナムなどから奪ってきた経緯がある。中国側は、島々はもともと中国領だったと主張するが、一方的な言い分に過ぎない。実力の行使は決して許されない大国のエゴである。

 空母の問題では、米国海軍がいま、北朝鮮を威圧している。そのやり方の適否に議論の余地はあるものの、少なくとも東アジアで展開する米空母の存在そのものを脅威と受けとめる周辺国はほとんどない。

 ところが中国の方は、そもそも北朝鮮に最大の影響力をもつ国として果たすべき抑止の役割をまっとうしないばかりか、北朝鮮以外の国々に対し、空母の保有で威圧感を与えている。

 中国は、危うい軍拡路線を改めるべきである。力の誇示で、大国としての信頼は築けない。

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