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 北朝鮮がきのう再び、ミサイル発射の暴挙に出た。

 国営メディアは、金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長の命令で大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射し、成功したと宣伝した。

 ミサイルは高度約2800キロに達し、39分間飛んで900キロ以上離れた日本海に落下したとしている。日本の排他的経済水域内だった可能性がある。

 核爆弾の開発とともに、核を運ぶミサイルの射程を米本土にまで延ばす。そこで初めて米国と対等な交渉に臨める――そんな考えのもと、北朝鮮は開発に国力を注いできた。

 だが、それは世界の安保環境をかき乱す蛮行であり、自らの首を絞めるだけだ。米国のトランプ政権の当面の選択肢を、対話ではなく圧力強化に向かわせることになろう。

 このミサイルにどんな能力があるのかは、日米韓当局の分析を待たねばならない。

 ただ、ICBMか否かを問わず、射程の拡大がつづく事態は地球規模の脅威である。その技術が中東など紛争地域に広がる恐れもはらんでいる。

 それだけに、国連安保理決議への長年の無視と侮辱をやめさせるための国際行動を、安保理は改めて考えるべきだろう。

 今回の発射後、友好国の中国政府も「安保理決議違反だ」と非難した。だが、もはや言葉だけでは済まされない。中国が実効性のある抑止策を打たねば、事態は変わらない。

 日本については、すでにかなり前から北朝鮮の中距離弾道ミサイルでほぼ列島全土が射程に入れられている。ICBMの開発が進んでも、ただちに脅威が変わるわけではない。

 むしろ射程の拡大に最も敏感なのは米国であり、日本、韓国との3カ国の枠組みとしての対応策を大きく左右するのはトランプ政権の反応である。

 韓国の文在寅(ムンジェイン)政権は北朝鮮との対話も視野に入れるが、トランプ政権はそもそも外交の軸足が定まっていない。日米韓の結束を最優先するために、日本政府は冷静な情勢分析に徹し、調整役を果たすべきだ。

 今週、ドイツで主要20カ国・地域(G20)の会合があるのを機に、日米韓、中国、ロシアの首脳が集う。各種の会談は、朝鮮半島問題への姿勢をすり合わせる格好の機会である。

 日米韓は、核・ミサイルの綿密な解析と監視をつづけ、中ロと包囲網を築く努力を強めるべきだ。北朝鮮の挑発に乗るような緊張や動揺は避けつつ、事態の改善をめざす厳しい外交の知恵を模索し続けるほかない。

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