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 日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)交渉が大枠で合意に達した。双方の経済規模を合わせると世界の約3割を占める巨大な自由貿易圏が生まれる。

 自国第一主義を掲げる米トランプ政権が環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱し、保護主義的な姿勢を崩さないだけに、大型の通商協定を歓迎する。日本とEUは保護主義の広がりに歯止めをかけ、貿易自由化を進めるため、さらにリーダーシップを発揮してほしい。

 難航していた交渉は、対米国の思惑から合意に向けて加速した。今日から始まる主要20カ国・地域(G20)首脳会議では、反保護主義への対応をめぐって米国と他の国々との対立が予想される。日欧の合意は大きなメッセージになる。

 双方に事情もあった。安倍政権は、行方が見通せなくなったTPPに代わる成長戦略の目玉として日欧EPAを強調できる。英国が離脱を決めたEUも、経済統合の求心力を保つために、米中に次ぐ日本市場の開放が必要だった。

 ただ、合意をうたうことを急いだため、積み残した課題は少なくない。交渉を続けて最終合意を急いでほしい。

 注目された関税交渉は、EUが自動車や電気製品の市場を、日本は乳製品など農業関連の市場を開くことになった。

 協定が発効すれば、EUが自動車にかけている10%の関税が7年で撤廃される。日本のライバルにあたる韓国はすでにEUと自由貿易協定を結んでおり、自動車関税はすべてなくなっている。同じ構図の電気製品を含め、日本の産業界にとって恩恵が見込める。

 日本はチーズやワイン、豚肉やパスタの関税を引き下げたり撤廃したりするので、消費者も利益を受ける。ただ、酪農家などが競争をしいられるのは必至だ。影響を見極めつつ、一定の政策面の配慮が必要だろう。

 日本は、今回の合意を他の貿易自由化交渉を進めるテコにしたい。米国を除く11カ国での発効を目指すTPPのほか、高い水準での自由化が問われる東アジア地域包括的経済連携(RCEP)、日米経済対話が当面の焦点になる。

 機能不全に陥っている世界貿易機関(WTO)の立て直しも忘れてはならない。貿易自由化は多国間の枠組みで進めるのが本来の姿だ。WTO離れを示す米国を説得しつつ、先進国と途上国の対立を解きほぐすことは、日本がEUとともに取り組むべき課題である。

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