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 九州北部に記録的な大雨が降り、被害が拡大している。土砂崩れが各地で発生、複数の集落が孤立し、安否を確認できない人も多数出ている。

 救助を待つ人の疲労は増しているだろう。行方不明者の捜索や孤立者の救出に、消防や自衛隊、各自治体は全力をあげてほしい。降り続く雨や土砂崩れへの懸念から、作業は難航している。政府は関係省庁の力を集め、支援にあたるべきだ。

 被害の全体像は降り始めから3日たっても十分にわかっていない。それが、いかに大変な豪雨に見舞われたかを物語る。

 1日で7月の雨量の1・5倍が降った福岡県朝倉市では、通信手段がとだえ、情報が伝わっていない集落もある。あちこちで山肌が崩れ、大分県日田市では川の増水で鉄橋が流された。

 被害は高齢者が多い中山間地に多いようだ。自力での避難が難しい人もいるだろう。避難所に身を寄せた人も1千人を超す。

 福岡、大分両県は運営などにあたる支援要員を現地に派遣したが、政府とも連携を密にし、不足しているものを素早く供給してもらいたい。

 今回の雨は、台風3号が列島を横断した後に激しさを増した。積乱雲が帯状に並び、同じ地域に集中豪雨をもたらす「線状降水帯」が原因だ。朝倉市では時間雨量が130ミリ、24時間雨量の最大値が545ミリというすさまじい雨量となった。

 まずは救助が第一だが、避難勧告や指示が適切に出されたのか、それがうまく伝わっていたのかなど、事後の検証もしっかりする必要がある。

 線状降水帯は2012年の九州北部豪雨や、14年の広島土砂災害、15年の関東・東北豪雨でも災害を引き起こした。こうした局地現象は、スーパーコンピューターを使った今の予報技術でも予測が難しい。

 地球温暖化に伴う気候変動で、今後、極端な降水がより頻繁に起きるともいう。全国どこでも発生しうる現象だ。

 大切なのは、避難勧告を待つのではなく、時間的な余裕がない事態も想定し、ふだんから備えておくことだ。自分が住んでいる場所についての災害のリスクや、地形なども把握し、災害ごとの避難の仕方を事前に確認しておくことが重要だ。

 今月から、気象庁は河川の氾濫(はんらん)や浸水の恐れがある地域を5段階で色分けして地図で示す情報提供を始めた。情報が、よりきめ細かくなるのは結構なことだ。だが、それを生かすのは住民であることを肝に銘じたい。

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