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 北朝鮮問題は複雑な難問であり、簡単な答えはない。ただひとつ確実なことは、周辺各国が協働する道筋がなければ事態は打開できないという現実だ。

 ドイツであった主要20カ国・地域(G20)会議を機に、日本と米中韓ロの首脳が北朝鮮問題を話しあった。

 大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射直後であり、また、韓国の新大統領にとって初の多国間対話である。周辺各国が意見をすり合わせるうえで時宜にかなった舞台となった。

 各種の会談を通じて浮かび上がったのは、脅威の高まりという認識では一致する一方、その打開策をめぐっては足並みがそろわない現状だ。

 結束を最も固めておくべき日米韓の間でも、考え方の微妙なずれを調整する必要がある。それが今回の日米韓首脳会談が示した課題だった。

 安倍首相は、北朝鮮と対話する前提として、北朝鮮が非核化に向けた具体的な行動をとるべきだとする。それに対し韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は、圧力と対話を組み合わせて段階的に非核化を迫ろうという持論を唱えた。

 トランプ米政権は圧力と対話の間で揺れているが、マティス国防長官は、外交努力を続けるべきだ、と公言している。

 日米韓とも、平和的解決をめざす姿勢で変わりはない。そのためにやがて必要となる対話の条件をどこに置くかが焦点だ。3国政府は具体的なロードマップ(行程表)作りを急ぎ、共通の認識を固める必要がある。

 もう一つの難題は、ロシアと中国である。国連安保理の論議で、ICBM発射を非難する報道声明はロシアの同意を得られず難航している。北朝鮮への圧力は、ロシアと中国の協力なしには効果を発揮しない。

 ICBMが地球規模の安保環境を危うくする以上、中国もロシアもこれまで以上の危機感を日米韓と共有できるはずだ。米国との覇権争いのような狭い対外戦術の中に朝鮮半島問題を位置づけるのではなく、国際社会の安定という共通の利益に目を向けるべきだ。

 一方、ドイツでは日韓の会談もあった。両首脳は、定期的に相互訪問するシャトル外交の再開で合意した。また慰安婦問題の合意についても、意見の対立を避け、双方の世論が過熱しないよう努めることになった。

 現実的で適切な対応である。首脳同士の信頼関係を深め、歴史問題を含む課題を一歩ずつ克服していくべきだ。北朝鮮問題という喫緊の課題を前に、政治対話を滞らせる余裕はない。

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