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 「新たな冷戦」ともいわれる緊張状態を打開すべきだ。大国間の争いは、地球を覆う多くの問題の解決を遠のかせる。

 トランプ米大統領とロシアのプーチン大統領が初会談した。30分の予定が2時間を超え、シリア内戦やウクライナ問題などで一定の合意をみた。

 さらに前向きな対話を続けてもらいたい。対立点は残しながらも、国際社会を脅かす課題の解決に向けて協力できる領域を探る。そんな建設的な大国関係づくりを望みたい。

 米政府によると、シリア南西部に難民が帰れる「安全地帯」をつくる▽ウクライナ問題を話し合う特別代表を米国が設ける▽双方が相手国への新大使を任命する――などで合意した。

 一方で、昨年の米大統領選の際、ロシアがサイバー攻撃などで介入したとの疑惑については相当の応酬があったようだ。

 トランプ政権はこの疑惑で揺れている。ロシア側に懸念をぶつけたのは、米国民向けの演出の側面が大きかっただろう。

 それでも、両国はこの会談でサイバー安全保障に関する作業部会をつくる合意をした。世界が不安を抱えるサイバー問題に取りくむ姿勢を米ロが示す意義は少なくあるまい。

 確かに両国間の溝は深い。ロシアによるクリミア半島の併合のような一方的な現状変更や、法の支配への挑戦を米国は容認することはできない。それは日本も含む自由主義世界として、妥協できない原則である。

 一方、ロシアにしてみれば、北大西洋条約機構(NATO)の拡大など、冷戦終結以降の西側勢力の一方的な拡大は脅威と映り、新たな秩序づくりをめざす思惑があるだろう。

 ロシア以外の新興国の力も増し、世界秩序の行方は見通せなくなっている。だとしても今後も、米ロが世界に顕著な影響力を維持する現実は変わらない。両国が背を向け合っていては、国際社会の安定は築けない。

 米ロが最大の責任をもつべき核軍縮や核不拡散体制の強化をはじめ、国際テロ対策、地球温暖化対策、宇宙開発など、率先すべきテーマは数多い。

 とりわけ急ぐべきは、今世紀最大の人道危機といわれるシリア内戦への対応だ。多大な犠牲者と難民を生んだほか、過激派組織「イスラム国」(IS)の台頭を許した混乱は、米ロの協調行動なしには終息しない。

 まずは今回合意した安全地帯の設置を着実に実行する。それを端緒に、さらに実効性のある停戦から和平への道筋をつけるよう、協議を重ねてほしい。

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