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 センター試験の後を継ぐ「大学入学共通テスト」の実施方針を文部科学省がまとめた。今の中3生から対象になる。

 政府の教育再生実行会議が入試改革を提言して4年。だが理念が先行し、実施方針はその一部を形にするのにとどまった。

 知識偏重から抜けだし、もっと思考力や表現力を問う試験にする。ABCなどの段階評価に切りかえて、1点刻みで優劣を競う入試はもうやめる。それが議論の出発点だった。

 これを受け、実施方針は国語などに記述式問題を導入した。しかし膨大な数の答案の採点が必要なため、長文を書かせる本格的なものにはならなかった。

 採点は段階評価を検討するというが、それ以外の設問は、選択肢から正解を選び、点数が決まるマークシート方式だ。

 両者が混在したままでは、受験生を比較し順位をつけることはできない。段階評価の結果を点数に換算する大学が多くなりそうで、これでは「1点刻み」入試とさほど変わらない。

 英語については、話す力や書く力も測れるように、英検など民間試験の結果を用いる。制度変更への不安に配慮して、23年度までは現行試験も残し、大学が選べる方式にした。

 現実的な対応だが、民間試験の受験料や会場の偏在を考えると、経済状況や居住地で不公平が生じる心配は残る。受験生に過度な負担や混乱を強いることのないようにしてほしい。

 浮かびあがるのは、毎年50万人以上が受ける共通テストという巨大入試に、あの機能もこの機能も、もろもろ担わせようとすることの限界である。

 入試は本来、各大学がそれぞれの教育内容や方針に沿ったやり方で行うべきものだ。共通テストはあくまで受験生の基礎学力を確かめる手段にすぎない。各校の個別入試で独自性を発揮してこそ、個性ある学生と大学が育まれよう。

 文科省は、私大をふくむ入試全体を「多面的評価」に転換する目標をかかげている。教科試験だけでなく、面接や調査書なども使って、意欲や主体性も見極めようとするものだ。

 先行する米国や韓国は、各大学が学生選考にあたる専門スタッフを抱えている。ひるがえって日本の大学は手薄なため、入試業務は教職員にとって重い負担となっている。

 めざす入試改革を実現しようとするなら、スタッフの増強・充実は不可欠だ。国は細かな制度いじりに精力を注ぐよりも、資金やノウハウの面で各大学を後押ししてもらいたい。

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